第12話『死闘』Part3   Part2に戻る

 時間にすれば一瞬だったろう。だが両者にとっては恐ろしく長い時間に思えたであろう。
 髭の男は立ちあがり少年を見ると『にぃ』と不気味な笑みを浮かべる。そして黙って腕を振ると空気の衝撃波が出た。
「くっ」
 瑞樹がそれを捌いているうちに髭の男は逃げた。入れ替わるように十郎太が追いついた。
「赤星」
「やつを追う。この人を頼む」
 いい終わるかどうかのうちに既に瑞樹は走っていた。

 やがて綾那。上条。そして真理が到着した。
 細い路地を抜けたところに小学校とおぼしき建物がある。だがそれもプールのある端の方でそれほど賑わいはない。現在はそこにいた。
 真理が瑞樹の姿が見えないのを怪訝に思い素直に尋ねる。
「十。赤星は?」
「不埒者を追ったでござる。拙者はこのものの面倒を」
 それから榊原。姫子。七瀬の順で到着する。七瀬はかなり荒い呼吸をしている。
「及川殿。済まぬがこのものの手当てをお願いしたい」
 七瀬は十郎太の示す女性を見た。泥だらけで所々破れた服。下着が片足の膝に引っかかっていたことから何があったか察した。抵抗の後か頬や手足に傷が。
「はぁ…はぁ…ちょっと待ってて…」
 走りの苦手な七瀬は呼吸を必死で整える。しかしなかなか整わないが榊原が軽くツボをつくとうそのように納まった。
「ア…ありがとう…意外な特技があるのね」
「性感帯を調べているうちにいくつか見つけて興味を持って親父の本を調べた。多少なら針を使わなくてもできるよ」
「お医者さんの一家だもんね」
 本当に楽になったらしく七瀬は軽口も叩く。そしてダンシングクィーンで被害者の女性。美恵子の傷や服の損傷を直す。
「後は精神の安定もな」
いくつかのツボを榊原が押した。その際だ。
(ん? なんだこの『紐』は…まるでダイナマイトの『導火線』だが)

 走る斑。撒こうとしているため実はまだ50メートルは離れていない。
(これ以上はなれると解除される。口を封じておくか)
 彼は右手の指を弾いた。

 突然。美恵子の首筋から火が吹いた。驚いて飛びのく榊原。
「な…なんだぁ!?」
「きゃあああああああああああああああああああ」
 炎があっという間に美恵子の全身を包んだのが、マリオネットマスターではない上条や十郎太にも見えた。
「こ…これはっ…まさか…」
 その場の全員がゆかりのことを思い出した。だがそれを考えている局面ではない。しかし火が…
「人命救助です。あのプールに失礼させていただきます」
 姫子は姫神に美恵子を運ばせようとする。十郎太が察して慌てて止める。
「姫。『姫神』は姫が手で持てる重量くらいしか運べないはずでござる。人一人運ぶのは無理が」
 事実だった。だから姫子本人は自分を運ばせて『瞬間移動』のようなことができなかった。
「しかしこれしか…きゃああああああっ」
 マリオネットの炎は姫神をも焼いた。そのショックで姫子は気を失った。本体の姫子の両手がひどい火傷である。
「姫ちゃん」
 慌てて七瀬が治療をする。それに真理が凄みのある声で言う。
「七瀬。アタイも後で頼むぜ」
「え?」
 問い返すまもなく。なんと真理は直接その手に炎をまとった美恵子をつかんだ。そして小学校のプール目掛けて投げる。
「マンハッタン」
 美恵子は派手な水飛沫を上げて着水した。姫子と治療中の七瀬を残して一同は消火を確認すべくかける。だが
「ば…バカな!?」
 大量の水の中で美恵子は燃えていた。もがいていたがとうとう動かなくなる。最後の燃え尽きた辺りでは姫子をおぶってきた七瀬も目撃できた。
 跡形もない。なんの痕跡も残さず燃え尽きた。そしてプールの水には変化がない。人一人燃やし尽くす熱量がありながらである。
「間違いない…ゆかりは…この女を殺したのと同じヤツにやられたんだ…赤星が追っているやつに…」
 吐き捨てるように真理が断定する。声のない一同。七瀬が静寂を破る。
「ちょっと待って。真理ちゃん。それじゃそんな危ない相手を瑞樹たった一人で追いかけていったの…」
 今度はみんな青くなる。人を探すなら姫神が有利だが姫子は火傷こそ完治したものの気絶中である。
「姫を頼むでござる」
 十郎太はそれだけ言うと走り出した。

 本当に街中なのか怪しい廃工場。瑞樹はここで『髭の男』を見失った。
(おれを撒くつもりならこのあたりでやり過す気かな…)
 それを考えていると中から凄まじい勢いで何かが窓を破って飛んできた。
「うおっ?」
 思わず飛びのく瑞樹。高い音を立てて落下したのは『スパナ』である。古いもう廃却処分になりそうなスパナである。
「なんでこんなもんが?」
 しげしげと見ているとそのスパナがいきなり火を吹いた。
「わっ!?」
 驚く瑞樹の目の前でスパナは紙のように燃え尽きてしまった。しかも地面には焦げた後もない。
(この能力は…マリオネットかっ。仮にスパナにガソリンをまぶして落下の衝撃で火花が散り着火して炎上してもスチール製のスパナが燃え尽きるはずがないっ。しかもスパナを燃やし尽くすそれほどの高熱なのに地面にこげ後がない…ひょっとしたら…小山がこの力でやられていたとしたら…)
 あくまで仮定。だが凄まじい迫力をかもしだし瑞樹は力強い足取りで廃工場へと向う。

 廃工場の中に斑は潜んでいた。せっかくの獲物を台無しにされたので、腹いせにその「少年」を殺すつもりだった。
 腹いせなので恐怖に顔を引きつらせないと気が済まない。またこれで逃げ出すようなら大したことはない。つまり真価を図るためと『導火線』をとりつけた『スパナ』を名詞替わりに投げつけた。
(蒔いた餌が美味かったようだ。寄ってくるとはな。その自信満万な表情を恐怖と悔恨に変えなきゃ気が済まない)
 知らずもれる薄笑いを隠そうともしない斑である。闇。それは殺人鬼の棲家。

(暗いな…採光のための天窓だが埃でほとんど役に立たない。使われなくなってからかなり経つな。真昼だと言うのに真っ暗だ)
 これではどこから攻撃が来るかわからない。
 だが所々は屋根が壊れていてそこから光が柱のようにさし込んでいる。そして天井の穴から雨が落ちるわけだけに光の先にはほとんど水溜りがある。それが鏡の役目を果たして辛うじて真の闇にはならずにすんでいる。
 月夜の町。そのくらいの明るさと言うところか。

 この闇は斑に取って良いことばかりではない。
 対象の影に取りつき本体に灼熱地獄を味合わせる『リトルデビル』だが、この闇では全てが影で攻撃対象を絞れない。
 つまり姿を隠しての遠距離攻撃は出来ない。叩くなら例え遠距離でも相手の前に姿をあらわして飛び道具などでの攻撃となる。
 だがこれはこれで斑の趣味にあっていた。闇に怯える様。その喉を掻ききったときどんな表情をするのだろう。それを考えるとわくわくすらしてくる。
 目を凝らして少年を見ている。今のところ怯えはない。

 そして瑞樹が立ち止まる。すぅーと息を吸いこむと大きく叫ぶ。
「出て来い。殺人鬼。聞きたいことがある」
 斑は笑いたい衝動を辛うじて抑えた。逃亡者に止まれと言って止まるはずがない。そのくらい滑稽な言葉に聞こえた。
(しかしどうして『殺人鬼』なんだ? あの女を殺したところを目撃したにせよ『人殺し』だろう。単なる言葉のあやか)
 だが次の瑞樹の言葉は笑いを消すには充分だった。
「小山ゆかりを殺したのは貴様かぁーっ!?」
(なにっ?)
 鼓動がひとつ撥ねあがった。
(あの小僧…『小山ゆかり』の関係者か…だが無限塾ではあんな「男子生徒」は見たことがない。中学の同級とか学校外の関係者か)
 思わず斑は瑞樹の前に姿を表していた。
「…現れたな…」
「私もひとつ聞こう。小山ゆかりを知っているのか?」
 その表情にはもはや『ゲームを愉しむ』と言う余裕はなかった。

このイラストは「オーダーメイドcom」のクリエーター。参太郎さんによって製作されました。感謝の意を表します。

「友だちった…いや。いまでも友だちだ。生きているならな…答えろ!! 
 ゆかりを廃ビルで殺し、さっきスパナを蒸発させた能力で死体すら消したのは貴様の仕業か!?

 びしっとばかし指を指す。失礼な行為だが怒りのあまりやってしまっていた。
「私の名は…斑信二郎」
 髭の男は突然に名乗り出した。
「それが本名だ。仮の名も教えてあげたいが、誰かが外で聞き耳を立てていると厄介なので後から地獄で会うことがあったら教えてあげよう。
 趣味は殺人。小山ゆかり。あの娘を殺したのも私の趣味だ。細くて白い…華奢な良い首筋だった。
 あのまま生きていたら老いで醜くなっていたであろう。だから美しいままで永遠に留めた」
「貴様…」
 瑞樹は全身の血が逆流したかのような感覚を覚えた。あるいは煮えたぎると言うべきか。
 沸き立つ怒りを抑えきれない。破気にも近い神気。それが高鳴り両手から砲弾と化して射出される。
「シューティングスター」
 気の塊は一直線に斑を目掛ける。だが届かない。性格には『撥ね返された』。
 暗がりで見えなかったがハーフミラーのような『鏡』がいつのまにか両者の間にあった。瑞樹の放った弾はそれに反射した。
「なに!?」
 発射体勢のままだった瑞樹は回避もままならず、そのまま直撃されもんどりうって倒れる。斑がほくそえむ。
「ふっふっふ。不用意に接近せず飛び道具で牽制とは賢いがだいぶ頭に血が上っているな。それとも暗がりで見えなかったかね。私が破気で作り上げた『デストラップウォールβ』が」
「デストラップウォールだと?」
「そうさ。これは本来。壁としておく物だが飛び道具を撥ね返す効果もあるのだよ。もっともそうは長持ちしないので使い捨てだがね」
 斑にしてみれば任務でも怨恨でもなく趣味での殺人。故に芝居っ気も混ぜて遊ぶ。だがそれが
(この口調…意識して変えているし変装の為に何か口にいれているから声も違って聞こえるが…どこかで…誰か身近な人物に似ている…)
 この疑問が瑞樹の上った血を下げた。一方の斑も瑞樹の技に正直驚いていた。
 (この技…ウチのクラスの赤星みずきのそれと同じだが…だが暗がりでもみえるがあのシャツの下は紛れもなく男の胸。赤星みずきも間違いなく女だからこの時点で別人だが…まるで同じだな。格闘技の師匠が一緒なのか? つながりがあるとしたらまた新たな遺恨だが…消さないわけにも行かないか。そして)
「ふふふっ。私の本名を聞いた時点で既に君の死は確定しているのだよ」
 斑は驚異的なジャンプで(恐らくはゴーストフェイスキラーの手助けがあるが)後方の壁に向かって飛んだ。
(空手の三角飛び? それの縦方向か。だがあそこが基点なら軌道がわかる!!)
 瑞樹は迎撃すべく態勢を整える。ところが斑はそこからさらに天井に跳んだ。
(なんだと!? くっ。そこからさらに跳ぶのか? それとも攻撃か?)
 動きから目線を切らないために追跡していたが斑が、飛んだ先に大きな穴が開いていてそこから陽光が
(眩しいっ)
 目がくらんだのを見て斑は瑞樹めがけて落下する。反応の遅れた瑞樹は捌くのはもちろんガードすら間に合わずなす術もなく食らってしまい倒れる。
「思い込みと言うのは危険な物だな…いい教訓を頂いたよ。ありがとう」
 痛烈な皮肉であった。倒れた瑞樹に無造作に近づく。
 衝撃波を飛ばす技…スパークカッターの低い方。グライディンもさすがに倒れている相手には当たらない。それに接近しなくては『導火線』は取りつけられない。
 まさに手が触れそうなとき、倒れていた瑞樹が身を起こし斑の喉もとに強烈なキックを見舞う。
「コロナフレア」
「ぐあっ」
 さすがにこれはもろにくらいのけぞる。その間に瑞樹は着地して態勢を整える。
「偉そうなことを言っていたが…オレが気絶したと思いこんで自分が食らってりゃ世話ないぜ。それにひとつわかった」
 ここで一呼吸入れて思考をまとめる。
「テメーの『燃やす』能力。自分が手で触れるほどに近寄らないと出来ないんだな。それも動きが止まっていないと…いや。ゆっくりな動きということか。そのマリオネット。パワーはあってもすばやい動きは出来ないと言うことだ」
「それが間違いならどうするんだね?」
「へっ。もし既に何かされていたなのらなおさらテメーをぶっ飛ばす必要があるだろう。もっとも…小山の仇を逃す気はないがなっ」
 すばやいステップで斑に接近。すかさずキックの連発。
「スタークラッシュ」
「デストラップウォールα」

 瞬時に形成される『鏡』が瑞樹の蹴りを防ぐ。だがこれには反射する能力もないため単に盾としての役目に終わった。
 瑞樹を足止めした斑は後方へと飛びのき間合いを作る。破気が高まる。
「デストラクション」
 腕を振るう。直後に足を振るいまた腕を。最後にまた足を振るう。上に二つ。下に二つの衝撃波が飛ぶ。
「くっ」
 瑞樹はしゃがんで上の衝撃波をやり過ごす。当然下のは命中するがガードを固めていたのでダメージは少ない。しかし動きが止まった。
「しまった。見失ったっ。ど…どこだ? ヤツは…」
 ガードの隙を突かれて斑に姿を消された。前方にはいない。天井でもない。
 ひょっとして…後方で物音。フェイントもありえたが逡巡は許されない。咄嗟に誰もいない地面に転がった。わずかな差で斑は獲物をしとめそこなった。
「ちっ。ゴーストフェイスキラーで壁に着地したのはいいが、その際に腐った壁が落ちるとはな…」
「危ない危ない。まさかさらにそんなとこに跳べるとはね。その様子じゃまだ隠し芸があるだろう。それも見せてもらうぜ」
 瑞樹は斑目掛けてジャンプした。斑はすっとしゃがみこんで『溜め』を作り宙返りを打つ。その足が瑞樹を打ち落としに掛かる。
「ジャックナイフ」
 だがこれは瑞樹の誘いだった。跳びこめば何かしらの対空迎撃をする。それを出させる狙いだった。
 足が当たる刹那に瑞樹はその力を受け流してしまう。そのまま着地に成功。反対に斑は無防備に宙を舞う。それを目掛けて瑞樹は足から跳ね上がる。
「コロナフレア」
 攻撃体制だったために捌きに行けない斑は空中でもろにくらい、反対に『撃墜』されるはめに。地面に叩きつけられる。
 瑞樹としたら追撃したかったが自分の着地で手一杯。斑はその隙に体勢を立て直す。仕切り直しだ。

「う…うん…みなさん…」
 姫子がようやく気がついた。綾那が体力を与え七瀬が治療したので火傷はまったく残っていない。
 もちろん真理の手の方も綺麗になっている。姫子はみんなが見守る中でのろのろと体を起こす。
「よかった。無事だったのね」
「はい。ご心配おかけいたしました。そう言えばあの女の方はどういたしました」
 尋ねられた一同は沈痛な表情になる。それだけで結果は悟れた。
「そんな…なんてお気の毒な…」
「殺ったのは多分ゆかりを殺したヤツだ。だからゆかりの死体は見つからない」
「姫ちゃん。お願い。瑞樹を探して。その犯人を追っかけて行ったきり帰ってこないの。風間くんも探しに行ってくれたけど」
「わかりました。場所を探るくらいしか出来ませんが…姫神」
 姫子は使役する『傀儡』を呼び出し瑞樹を探すように頼む。だが…
「申し訳ありません。女の子のみずきさんはすぐ探せるのですが、男の子だと馴染みが少なくて気配を読みきれません」
 姫子の『姫神』は瞬間移動能力。ただしそれは本人が目で見ている場所か知っている場所に限られる。
 だから自宅の保管場所から瞬時に手元に薙刀や弓矢を取り寄せられる。多少は場所が変わっても馴染みの武器ならすぐに探せる。
 人も同じだ。だから十郎太のように常にそばにいる人物なら容易く探せる。
 クラスメートのみずきも探せるが男バージョンはほとんど馴染みがないため気配が探れないのだ。

 廃工場。両者の死闘は続く。互いに手の内を隠すために神気や破気を使う技を出さないでいた。
 普通の技を駆使して相手の隙に一気にたたきこむつもりだった。
 瑞樹が飛んだ。斑は一瞬迷った。ジャックナイフで迎撃すれば…だがまた誘いの罠なら。ブロッキングされてその隙を突かれてはたまらない。
 ではガード。それでも甘い。ガードに有効な手段がある。それに対しての防御を取ることを決意した。
 ほどなくして瑞樹が降りてきた。意外にも何も技を出さずにすとんと着地した。その刹那に瑞樹は斑を投げ飛ばそうとしたがそれを見ぬいて斑は取らせなかった。
(やはり投げるつもりだったか)
(ちっ。見ぬかれていたか。だが)
 瑞樹は逆立ちの体制になる。
(あの空に蹴り上げる技か。それとも前方へ蹴りを見舞う技か。とりあえずしゃがんでのガードを)
 それは同じモーションからの第三の技。メテオフォール。十分にスピードの乗った踵をしゃがんでいる相手に叩き込むためしゃがんでの防御の出来ない技。
 斑は見事に隠し技に引っかかった。攻撃を食らい多大な隙ができる。倒れまいとして不用意に立ち上がってしまう。
「今だ」
 瑞樹は立ち上がって斑にハイキックを見舞う。命中。後方にのけぞる斑の後ろから今度はミドルキック。次々と死角から死角へと回りこみ蹴りを連発する。
 これが「コスモスエンド」のように前方からのみ蹴りを見舞うのなら、後方に引いて威力を殺すことも可能だが何しろその後方から蹴りを見舞ってくる。
 ガード方向もブロッキングの方向も定められない。一度掛かったら脱出不能。だから瑞樹はこの大技をこう呼んでいた。
「ブラックホール」
 この技には最大限に高めた神気を一気に放出する必要がある。それがあって初めてこの超人的な動きが可能となる。
 四方八方。まるで4〜5人に袋叩きにされるように斑は蹴りつづけられた。意識が朦朧としてきた。
『フィニッシュ』
 最後に動きの止まった斑を大きく蹴り上げる。宙に舞う斑。同時に膝を突き肩で息をする瑞樹。
 それ程までに今の技は負担が大きかったが、決まれば最大の破壊力を持っていた。
(起きてくるな…もう…これ以上は…)
 祈るように瑞樹は宙を舞う斑を会わない視線で凝視する。
(くっ…なんと言うことだ…このままでは逮捕される。むろん看守の体を奪えば自由になれるがやはりこの『中尾勝』の肉体は惜しい。それ以前に『敗北』は屈辱…やるしかない…すべての破気を使うことになるが…)
 斑はコンクリートの地面に背中から叩き付けられた。そして動かない。
(…勝ったのか…オレは?)
 瑞樹はまだ半信半疑だった。

第12話『死闘』Part4へ

「PanicPanic専用掲示板」へ

「Press Start Button」へ

トップページへ