第14話『センチメンタルジャーニー』Part4   Part3に戻る

「うぅ…痛いよぉ…」
「どういたしましょう」
 頬に手を当て困ったような表情を作る姫子。一行は何とか鹿児島港には戻ってきたものの、みずきが痛がって進まない。
「さすがに夕方。これ以上には焼けないと思うが」
「いや上条。暑さこそないものの夕日はバカにできない。それにしてもとんでもない敏感肌だな。いわばいつも新しく女になっているから生まれているようなものか。赤ん坊の肌と言うなら確かに日焼けが過剰に影響するのも理解できるが」
「とはいえど赤星は学校の水泳の授業も同じように水着を着てたんだぜ」
「いや。真理殿。この南国の日差し。東京とは比べ物にならんでござる。しみるのは塩水と真水の差も考慮せねばなるまい」
「とにかくゆっくりだましだまし何とかホテルまで行こう。それまで我慢してくれ。赤星」
 ところが泣きっ面に蜂。火山灰の降り方がひどくなってきた。
「こんなときに!」
「なんて間の悪い」
「とりあえずどこでもいいから建物の中にでも」
 8人は目に付いた可愛らしい喫茶店に飛び込んだ。

 店に飛びこむなり思わず灰を払ってしまっていた。カウベルの音に反応して出てきたウェイトレスが事情を理解したように言う。
「いらっしゃいませ。あら? 火山灰から逃げてきた?」
「そんなとこです…あとちょっと日焼けの治療もしたいけど…」
 喫茶店にはたまたまなのか客がいなかった。
「あら大変。とにかく入って。マスター。ちょっとマスター」
 店の奥に向けて声をかけるといかにも喫茶店のマスターという感じの青年が現れた。正直さで損をするタイプというと変な例えか。
「どうしたの〜るりーちゃん…おや。団体さん? いらっしゃい。ちょっとごめんなさい」
 人なつこい笑顔で出迎える。とりあえず手にしていた携帯電話を口元へ。
「ごめんなさいね〜ロータリーの話は今夜にでもまた〜♪」
 電話を切ると8人のほうを向く。そのとたん、彼の視線はある一点にくぎ付けになる。
(か…可愛い…なんと可憐な…)
 視線の先には例によってフリルまみれの小柄な少女。綾那がいた。
 今は泳いだ後のためお下げはほどいてあるのでソバージュ状の長い髪が肩にまで及んでいる。
 フリルまみれなのは本人のシュミもあるがこれだと胸のないのがごまかせる。だがこのマスターの眼力には通用しなかった。
(む―――――――っっっっっ)
 それを感じ取ったか、るりーと呼ばれたウェイトレスが話し掛ける。
「マスター。日焼けの治療がしたいんだって。奥に上げますよ」
「えっ!? そりゃ大変。それで誰がだい?」
「あ…この子です」
 七瀬がみずきを紹介する。
「女の子か。そりゃ大変だね。女の子じゃ私が塗ってあげるわけにゃ行かないからるりーちゃん。お薬出して塗ってあげて」
「はーい。じゃこっちに来て」
「あの…私もいいですか?」
「え? あなたも日焼けの治療?」
「いえ。手伝わせてください」
 実際はわずかずつでもダンシングクィーンが治療をしていた。それも続けたかったのだ。
「わかったわ。お願い」
 二人は奥の部屋に上がって行った。残った面々は手持ち無沙汰になってしまった。
「ゆっくりしてってね〜♪ 灰もひどいし。泳いだんならお腹が空いたかな。それとも飲み物がいい?」
(そうだな…治療で場所を借りておいて何も頼まないのはまずいな…)
(適当にお茶でも頼むか…実際のども乾いたし)
 榊原と真理がマリオネットで会話していると綾那が「はーい。ボクおなか空いた」と幼稚園児のように言った。二人は渋面をつくるがマスターはことのほか喜んで
「そう〜♪ それじゃメニューから選んでね」
 さすがに夕食前に食べたくなかったが仕方ない。一同はメニューを覗き込む。
「ほう。親切だな。カロリーまで表示してあるぜ。ま…アタイにゃ関係ないけど」
「しかしなんで『おむすび』だけ単位が『kcal』でなくて『rpm』なんだ?」
「は―い。ボクねー。アイス食べたい」
「そう〜君たち(発音から察するに)東京の子? それじゃ鹿児島名物『しろくま』はいかが♪」
「えーなになに。しろくまさんのアイス? 食べるー」
「それじゃ待っててね」
「あの…僕たちの注文がまだ…」
「あっ。ごめんね。それじゃ何にします♪」
 それぞれ思い思いのものを注文する。

 奥の部屋ではうつぶせになったみずきの背中や肩に二人で薬を塗っていた。
「軟膏程度だけどないよりはマシのはずね。時間がたてば落ち着くと思うけど早くホテルに連れてって上げてね。
 あと今夜はお風呂は無理ね。水浴びならいいけど。けっこうやっちゃう子は多いのよね。日焼けのしすぎは。実は初めてじゃないのよ。こう言うの」
「はい。本当にいろいろとありがとうございます。何とお礼を言っていいのやら」
「いいのいいの。困ったときはお互いさまよ」

 注文の品がきた。綾那以外はコーヒーが上条と榊原。そして真理。紅茶が姫子で緑茶が十郎太であった。割とサービスのいい量と値段だったが綾那にはココアがついてきた。
「えーボク、これ頼んでないですぅ」
「いいのいいの。泳いで体が冷えててそれじゃお腹を壊すからはい。あったかいココア。これは私からのサービスだら。その代わり鹿児島に来たらまたこのお店に来てね」
「わーい。ありがとー」
 小学生のように無邪気に喜ぶ綾那に目を細めるマスターであった。

「ありがとうござまいましたー」
 七瀬とるりーの声が見事にハモり二人はけらけら笑う。
 ちなみにるりーのは『ご来店ありがとうございました』で、七瀬は『日焼けの治療ありがとうございました』である。みずきもまだ苦しげだが笑顔を作り精一杯感謝の意を表す。
 一行はホテルへと移動を開始した。
「親切なマスターとウェイトレスさんで助かったわ」
「んー。ウェイトレスのほうは親切心だと思うがマスターのほうはどうかな?」
「ああ。上条にライバル出現だな」
「ほう。あの御仁が綾那殿に一目ぼれと」
「綾那さん。可愛いですものね」
「そんなぁ…ボクには上条君が…」
 言われて悪い気のしない綾那。だが真相を知ったら…

 喫茶るりー。マスターはまだ感慨にふけっていた。
「いい…やはり薄い胸はいい…胸はないのが美しい…」
 思い切り力説していた。半目で見ているるりー。
「あの娘が知ったらもう絶対この店にはこないでしょうけど…胸がないといわれて喜ぶ女の子はいませんよ…マスター」
「それでも可愛いものは可愛いのっ」
 ドアのベルが鳴る。新しい客がきたことを告げる。
「ばわぁ。るりーちゃん。『乱痴』セットまだある?」
 二人はまた営業に戻る。

 鹿児島市内の旅館。みずきは楽にはなってきたがまだお湯は駄目だ。結局この夜は男に戻れない。
 こうなると部屋が問題だ。今回は男四人と女四人のはずだったが、いくら本来は男と言われても寝るときに女体の主がいたのでは落ち着かない。
 それはみずき自身も察して七瀬に相談する。娘たちは相談する。
 最初は真理が抵抗したが一人だけ個室にするには事情の説明が必要。おまけに観光シーズンでそんな空きは期待できない。
「今はみずきさんもお湯を被れないから完全に女の子ではないですか? それなら一緒に寝せてさしあげてもよろしいのではありません?」
 姫子が助け舟を出したのでみずきはこの夜。女部屋で寝ることになった。

「こ…こんばんは…」
 荷物を抱えてみずきが部屋を移ってきた。四人にあてがわれたといえど実際はもう一人分くらいは布団を敷ける。
 みずきの格好は薄手のブラウスとロングスカートであった。これははじめから瑞枝が荷物に入れていたものである。最初は『邪魔』と思っていたがこれが日焼け対策と知り母の愛情に感謝するみずきであった(ただし娘に対するそれであるが)
 後は寝るだけなのにわざわざそんな格好をしてきたのは、少女たちに無用の緊張をさせないためだ。
 女同士であれば問題ない。だからことさら女らしさを強調した服装できた。だがそれでごまかされないのが真理である。
「姫や七瀬が頼むからここで寝かせてやるが…変なことしたらただしゃおかねぇぞ」
 不遇な境遇で育った真理は簡単に心を許さない。むしろ七瀬たちに対してが異例といえるほどオープンだった。
 まして心を読む能力がある。そしてやたらにメリハリの利いたボディ。男の抱く思いは変わらなかった。
 みずきもお湯さえ被れば男。だからここまで過剰にぴりぴりしている。
「この体でどうやって変なことできるんだよ」
「どうだか。女同士で楽しもうとか考えてんじゃないのか?」
「あのな…なんでおれが女の悦びに目覚めなくちゃならんのだ?」
「はン…どうだか。オイ綾那。お子様のあんたでもこいつがどれだけ危ないか…」
 真理は仰天した。既に綾那は布団で寝息を立てていた。
「か…仮にも男がいるってのになんて緊張感のない奴…」
「あら。夜更かしは美容の大敵ですわよ。わたくしも失礼いたします…泳いで疲れたからでしょうか…先ほどからもう眠くて…」
 姫子もさっさと布団に入ってしまった。まるでみずきを男と扱っていない。もっとも二人とも初対面は女子高生のみずきだけに、本来が女と言うイメージがあるのかもしれない。すやすやと安らかな寝息を立て始める。
「…お…大物…さすがは戦国の末裔…」
 真理は驚くがこちらは逆に幼馴染ゆえに緊張感のない七瀬が眠そうにいう。
「そうね…昔はみずきとは一緒にお昼寝もしてたし…みんな一緒だもんね。私も眠ぅい」
 立て続けに姫子。七瀬と夢の世界へ。
「な…何なんだこいつら…意識してんのはアタイだけかぁ」
「オイ…そんなに心配ならおれから先に寝るよ…………襲うなよ」
「おまえと違って女と付き合う趣味はアタイにゃない」
 だが緊張感を保ちつづけた二人はなかなか寝なかった…が。真理のほうが神経は図太かったらしい。あっさり轟沈。むしろみずきのほうが回りに少女たちの寝姿で落ち着かなかった。
 (落ち着け…いや。落ち着くのよ。あたしもみんなも女の子同士じゃない。何を意識することがあるのよ)
 意図して女言葉を用いて自分が同性と思うことにより落ち着こうとするが、甘い香りが男の魂を揺さぶる。
 日焼けの痛みもあり結局は明け方近くになってやっと眠りに落ちた。

 朝。何をしても起きないみずきに真理が苛立っていた。他の少女たちも既に着替えて朝食に行く準備だ。
「こんにゃろー。人を夕べは不安のどん底に叩き落しておいて高いびきかよ…よーし」
 真理はにやっと笑うと自分のバッグをまさぐる。目的のものを持ち出す。そして行動開始。
 最初は止めに入っていた少女たちもいたずら心が起きてのりのりで参加していた。
 すべて終わり顔を見合わせると甲高い声で笑うがその騒音でもみずきは目覚めない。
「綾那。ちょっと寝不足解消してやれよ」
「うん。わかったー」
 綾那のマリオネット『マドンナ』が光りを注ぎ込む。体力が戻っている。みずきが夢の世界から戻ってくるようだ。
「さぁてみんな。朝飯食いに行こうぜ」

 朝食。和食のバイキングだ。男性陣は既に出向いていた。女性陣も来た。
「遅いな…あれ。赤星は?」
「アー…みずき? そろそろくるんじゃないかしら。ぶっ…くくくく」
 思わず噴出す七瀬。みんな笑っている。男たちは不思議だったがとりあえず朝食を摂り始めた。そこに当事者が現れた。まだ寝ぼけているらしい。
「アー…みんな。おはよー…」
「ああ。遅かった…な…赤星?」
「なぁにぃ…榊原。俺の顔に何かついてる?」
「うむ。まさにそのとおりでござる」
「いや…朝から気合入っているなぁ」
「赤星…顔…洗った?」
「顔? いんやぁ…腹減ったからすぐここに…」
「村上…おまえだろ…鏡を見せてやれ」
「あはははははは。そら。良く見てみな」
「なぁんだよぉ…おおっ!?」
 まだ寝ぼけた口調だったがその目がクワッと見開かれる。
 長いまつげにはマスカラが塗られ目元にはアイシャドーが。
 唇はピンクに彩られ頬も命の紅さをあらわしていた。完璧なメイクをされていた。
 それを知らされたみずき。その姿に耐えれず少女たちが笑い出す。真理などは咳き込んでいる。窒息するまで笑ったらしい。
「ぬおおおおおおおおお」
 みずきは近くの手洗いに飛びこみ乱暴に顔を洗うが落ちない。取って返す。
「ぜんぜん落ちないぞ!? これっ」
「それゃそーだぜ。シンクロの選手も使っている耐水メイクだ。ちゃんとクリームを使わないと落ちないぜ」
「とっても可愛いですわよ。みずきさん」
 揶揄ではなく本心で言っている姫子。しかし笑顔だけに説得力がない。
「落とせ。さっさと落とせ」
「いいじゃない。みずき。どうせ今日も海水浴だし。それだと顔の日焼けが防げるわよ」
「日焼けが…防げる?」
 よほど痛い目にあったらしく態度を変える。黙々と朝食へと移る。

 宮崎県。移動してきた面々は再び参拝へと出向く。場所は青島神社。今度は縁結びである。発案者が綾那なのは言うまでもない。
 実を言うといかに若き高校生でもかなりの強行日程。体力の補給は不可欠であった。
 となると綾那の『マドンナ』の出番である。それだけに発言権は大きかった。
 それを振りかざすような娘ではないがさすがに上条にあこがれて転校までした娘。
 縁結びと聞いて素通りするわけがない。だからこの神社へと出向いてきたのだ。お賽銭を入れ祈る。
(上条君とラブラブになれますように)
 何の小細工もないストレートな願いだ。一方、その上条は
(この世から悪が滅びますように…)
 綾那の願いを神が聞き入れるには時間が掛かりそうである。他には
(みなさんでいつまでも仲良くいられますように)
(北条のお家を再び…)
(このバカの女グセの悪さが直りますように)
(いい女と出会えますように)
 ある意味では正しい願いをしている榊原である。もっとも青島神社は縁結びだけではないのでみんなの願いも間違いと言うほどではない。
 そしてみずきと七瀬。二人の少女は…
(……)
(……)
 互いに相手の顔を見てしまい赤面する。これがみずきが男バージョンならほほえましいが美少女二人なので思いきり怪しい。
(七瀬の恋の最大のライバルは女の赤星かもな…)
 そんなことを考えてしまう真理であった。

 それから再び海水浴へ。今度はせっせと日焼け止めを塗るみずきである。
 痛い目にあったからゆえの行動だが秦から見ているとしみ・雀斑を嫌う女の行動にしか見えない。

 少女たちは元気である。
 勿論これには綾那の体力補給などが多大に貢献しているのは言うまでもないが、それにしても元気である。
 真理。綾那。姫子は子供のように水をかけあい戯れていた。
 戯れと言えば綾那の髪型。
 長いために様々なバリエーションが可能。
 ここでは左右に分けるいわゆるツインテールにしていた。
 それがピンク色のフリルつきセパレートと相俟って、凶悪なほどの可愛らしさである。

 凶悪なほどのと言うなら姫子の純白の水着もかなりのものだ。
『透けてしまうのでは』と期待…心配してしまうが透けない素材でがっかり…安心させる。
 いつもの和服だとそれほど目立たない胸元が、やはり水着だとはっきりとわかる。

 胸元と言えば相変わらず迫力の真理。
 黒いビキニは攻撃的なファッションではあるが、彼女のイメージからすると布地は多め。
 見た目と裏腹に純情な部分がある彼女は、そこまで肌を晒したくはなかったようだ。

 その背後…人食いざめの背びれを彷彿とさせる榊原の頭があった(笑)
 真理はそれには気づかず、本当に楽しそうに戯れていた。

水着のタイプも胸のサイズも色々取り揃えてます(笑)

このイラストは参太郎さんに作成していただきました。
感謝の意を捧げます。

 きゃっきゃと黄色い声がビーチパラソルまで届く。
 せっかくの水着なのにみずきと七瀬はそこにいた。
 あつものに懲りてなますを吹く。みずきはそんな状態だ。
 実際にまだ日焼けが痛い。
 それに付き添う形の七瀬。もっとも彼女もカナヅチなのでパラソルで過ごすのもいやではないらしい。
 何よりみずきと二人きり…



 海水浴といえば…ですいか割りをしようということになった。
「わかっていると思うけど『マリオネット』は使っちゃ駄目だぞ」
「はン。そんな野暮はしないって」
「スイカ買って来たぞ」
 上条と綾那が戻ってきた。とても大きなスイカが良く冷えていた。

「じゃんけんぽん」
 みんなどう言うわけかパーを出したが上条だけチョキだった。
「おおっ。チョキの神様は実在したっ」
 順番が順次決まるがスイカをたたくための棒がない。最初のプレイヤーである上条が調達することになった。となると流木であろう。
 ちょうど波打ち際に漂っている。上条は何かから避けるように前転して、タイミング良く棒を踏みつけて跳ね上げる。それをキャッチ。そして構える。
「うーん。当たり前だがライジングドラゴンロッドにはならんよな」
「早くやれ。風も強い」
 みずきが怒鳴る通り風が強い。砂が舞う中、上条は『超変身』と叫びポーズを決める。
「…で…今度はどんな場面だよ」
「EPISODE8『射手』でメ・バヂス・バを迎え撃つペガサスフォーム」
「いいからやれ」
 真理に目隠しをされる。ぐるぐると回される。ちょっと勢い良すぎて思わず心配になるほどである。案の定ふらふらしている。
 どうやら叩けないと判断したらしい。今度は耳を抑えてもだえ苦しみ始めた。ばたっと倒れて見せて自分で目隠しを取り
「50秒過ぎちゃいました。これで2時間は変身不能に…」
「ギブアップなんだろ?」

 続く榊原。確かな足取りである。どうやら自分が回転系の技を使うだけに、多少の回転では目は回らないらしい。
 正確にスイカに近寄る。が…となりの女子大生かOLらしきグループの方にふらふらと。当然だが真理が顔面鷲掴み。
「あれだけ正確にスイカに向かっててどうやったらそんな不自然に曲がるんだ? ああ」
「いや…あの…触覚より嗅覚が勝ったらしくフェロモンに引き寄せられて」
「おまえの場合は年中だろうがぁ」
 そのまま砂に顔を埋められた。

 続く姫子。七瀬の手で目隠しをされる。その様子を見て榊原が一言。
「うーん。目隠しより猿轡のほうが来るものがあるが…」
「阿呆はほっといてさあ行くよ」
 真理によって回される。みんな勝手なことを言う中で実に正確に十郎太の助言だけを聞き分けてたどり着くが…非力ゆえに割れない。
 反対に真理は榊原の言うのと反対方向ばかり行っていた。棒の感触でスイカにたどり着いたと確信して目隠ししてない部分で笑みを作る。
「ふっふっふ。カズの言うことを聞かないのは正解だったぜ。さぁて。アタイが割って…あららら?」
 何と力が入りすぎて棒を握りつぶして空振り。

 十郎太。何の迷いもなくまっすぐにスイカへ。そして
「えいやぁ」
 見事スイカを真っ二つ。
「おおーっ」
「さすがは忍者」
「これが心眼と言うものか?」
「さぁさぁ。皆さんで召し上がりましょう」
 割ったスイカをみんなで分けて食べるのであった。

 九州旅行も残すは大分県だけである。

第14話『センチメンタルジャーニー』Part5へ

「PanicPanic専用掲示板」へ

「Press Start Button」へ

トップページへ