第27話「姫子救出作戦」Part4   Part3へ戻る

 司令室。モニターに映し出される七つの戦い。
 プリンスは歯噛みして、姫子は顔を輝かせる。
 だいぶ十郎太達の方が優勢になってきたのだ。

 形勢逆転の榊原とDの戦い。
 「ぐううう」
 したたかに叩きつけられたDはうめく。
 「お前のパターンは集団戦だったら威力を発揮するかもな」
 榊原が冷静に言う。
 「何を…根拠に…」
 ふらふらしつつも反論。この言葉に反論しないと、一人では何も出来ないと烙印を押されてしまう。
 「根拠? お前みたいなタイプは人の戦いを後方で研究してから参戦する。だが一対一じゃデータ収集も解析も戦いながら。
いざ、それどころじゃなくなるともろいな。そして」
 榊原は無造作に近づく。Dは逃げるなり何とかしたかったが、ダメージが大きくてそうも行かなかった。つかまった。
 「なんだ? 動けん。何か見えない力でがっちりと」
 「どうやらマリオネットマスターではないらしいな」
 そして榊原は技の名前を宣言する。
 「3P」
 反対側に榊原のマリオネット「ビッグ・ショット」が出現して彼の攻撃を真似る。サンドイッチで同じ攻撃を食らっている。
 挟み撃ちではどちらかをガードしたりブロッキングしても片方を食らう。もはやとらわれた時点で勝負は決していた。
 散々に殴られ、蹴られた後ツープラトンで抱え上げられる。そのまま高く飛び上がり落下。地面に叩きつけた。
 「がはぁっ」
 血を吐いてDは倒れた。
 「お…憶えたぞ…」
 「喋れるようなら意外にダメージは軽いな。戦闘不能でも自分で基地に帰って治療を受けられるだろう。
で? 憶えたはいいが、マリオネットも見えないあんたは、どうやってこれを真似るんだ?」
 「…む…無理だ…」
 そのまま気絶する。それを見てから榊原は血止めの急所をついておく。
 「戦えなくすればそれでいい。しかし、随分と道草食っちまったな。急ごう」
 榊原は屋敷を目指す。

 榊原vsD。KOで榊原。ダメージは大きいが再び進攻。

 ナイフを振り下ろそうとしたCは、背中越しに殺気を感じ取り、振り下ろそうとしたナイフをそのまま投げつける。
 「おおっと」
 隠れていたモヒカンで学生服の男があわてたように飛び上がる。
 「いきなりナイフを投げつけるとはなんてやつだぁ」
 大仰に非難してみせる。
 「怪しい奴め。何者だ? 貴様。こやつの仲間か?」
 「仲間? まさかぁ」
 モヒカン男は大仰に否定する。
 「俺の名は冬野五郎。そいつにゃ恨みはあっても助ける義理はねぇ。敵の敵は味方ってわけだな」
 なんと。間接的に上条を救ったのは宿敵・四季隊。さらには遺恨の深い冬野だった。
 「俺としちゃ任務でこんなとこまで来ちまったが、アンタと事を構えるつもりゃねぇ。通してくれよ」
 「それはできん。ここの防衛が我輩の任務」
 当然だがはねつける。それは予想していた冬野。
 「そうか。じゃ強引に行かせてもらうが…あんたにゃ恨みも何もない。一つシンプルに戦って勝った方が譲るって方向で」
 「いいだろう。お互い正々堂々と戦おうではないかっ」
 双方から差し出される右手。Cの手のひらに光るものが。冬野の袖口で火花が。両者ともに後方に飛ぶ。
 「貴様…右手に毒針を仕込むとは、なんて汚いやろうだぁぁぁ」
 「袖口にスタンガンを仕掛けるような奴に言われたくはないわぁぁ」
 ……似たもの同士だった。そのまま戦闘になるが
 「ふん」
 仕掛けていたワイヤーを引っ張り、冬野を捕らえようとCが試みれば、そのワイヤーに油をたらして火をつける冬野。
 「アウチッ」
 慌てて離すと冬野がナイフを投げつけていた。それをはじいたCはリモコンを向けて爆弾を爆発させる。
 「おおっとぉ」
 吹っ飛ばされる前に自分で空を飛んだ冬野。Cの頭上にて破気で出来た偽りの炎を吹き付ける。
 全身に火薬を纏っているようなものなので、単なるエネルギーのイメージと知りつつ反射的によけてしまうC。
 「正々堂々」がひとかけらもない戦いが続く中。
 「う…」
 上条が薄目を開けた。それをC越しに確認した冬野は突進する。
 「何をたくらむ。この卑怯者」
 詰りつつも反射的にナイフで切りつける。ガクランが切られてしまう。いや。中のシャツまでもだ。
 「あー。俺のキャッティが。キャッティが」
 中のシャツは彼には想像できないアニメ美少女のプリントされたものだった。
 「なんだ? ジャパニメーションのシャツか。くだらん。日本の男に蔓延すると言う『OTAKU』文化と言う奴か。そんなもの戦場では何の役にも立たぬわ」
 「あー。バトルエンジェルを馬鹿にしやがったなぁ」
 口では反論しているが、まるで心がこもっていない。だがCは見抜けなかった。
 「それが悔しいか? もっと言ってやる。絵に描いた娘をありがたがるなど、まったくまともとは思えんな…?」
 突如として激しい殺気。思わず振り向くと憤怒の表情の上条が。
 「ぬぅぅぅぅああああああ」
 「貴様!? ついさっきまでそこで倒れ…」
 言い切れなかった。「逆鱗」を食らってしまった。
 「ぐああああっ」
 一瞬にして無様にぼろぼろにされるC。笑いながら冬野が
 「お目覚めか。じゃ二人で遊んでいてくれ。俺はやることあるんでな」
と、言うなり駆け出して行った。
 (上条の奴と遭遇した時のために、アイツが手出しできないようにこれを着ていたが、こんな形で役に立つとはなぁ。やはり俺様は頭がいい)
 そういう事情だった。結果として上条の暴走モードを呼び、体力を一瞬に回復させた。
 『なぁぁあああああぁぁぁぁぁあああ』
 黒いオーラを撒き散らし、怒りのままに接近する上条。
 「よ…よせ。近寄るな」
 先刻の時間停止能力中は、そのままずばり時間が止まっていて認識できなかったから恐怖はなかったが、この状態の上条には恐怖心を駆り立てられた。
 もはや勝負にもならなかった。やった分だけやり返される羽目になった。

 上条vsC。冬野乱入。そして上条暴走で逆転勝ち。

 跳んで回り込むつもりが、綾那がどこまでも着いて来る。とうとう林を出て山肌が見える。
 「しつっこいわねー」
 だがロケットの出力が上がらない。上昇も出来ないしただ飛ぶしかない。
 「えーい」
 綾那は走りのスピードをもっと上げ、なんと「壁」を走り出す。そして絶妙なタイミングで「横に向けてジャンプ」する。
 ただでさえ出力が落ちていたのだ。如何に軽い綾那といえど乗っかられてはもっと下がる。
 さらに飛びながら綾那はモードチェンジ。力押しのクラッシュモードへ。
 アリスの首をねじる。背中が下を向き、ロケットも下になった状態で叩きつけられた。
 ぼん。この衝撃で完全にロケットは使えなくなった。天使の翼はもぎ取られた。
 「うう…」
 それでも何とか立ち上がるが、そこにとどめとばかし綾那のマリオネット。「マドンナ」が接近していた。
 捉えるや否やAの体力を根こそぎ奪い取る。綾那が「ピンクカーミラ」と呼ぶ大技だ。
 「はぅぅぅぅぅ」
 もはや完全に立ち上がる力を失ったアリスはへたり込む。脚以外の外傷はないので命に別状はないが戦う力を奪われてしまった。
 「いっけない。ねぇ。姫ちゃんはどこ? それからボクがつるぺたじゃないとも言ってから気絶してよ」
 その要求は聞こえていなかった。アリスは完全に失神していた。

 綾那vsA。持てる力を全て使った綾那の勝利だった。

 冷静さを完全に失い美女は美少女を憎悪のままに叩きまくった。肉体的には女同士の戦いだが、精神的には男と男の戦いだった。
 たちまちに赤くはれ、鼻血まで吹くみずきの顔。
 「いい加減に…しやがれ」
 反動はつけられないが、巴投げの要領で脚だけで圧し掛かったGを投げ飛ばす。
 「うおっ」
 軽量がたたりあっさりと投げられた。この間にみずきは立ち上がり間合いを取る。僅かに出た鼻血をふき取り
 「お前はなんだよ。呪ってばかりだ。そんなに自分が嫌いかよ」
 「ああ。嫌いだ。こんな体…アカボシミズキ。お前はなんだ? 男なのか。女なのか。どっちだ」
 「オレは…赤星みずきだ。オレはオレだ。男だろうと。女だろうと。オレはオレを否定したりしない。お前みたいに運命を呪ったりしない
 「黙れぇぇぇぇ」
 いきなりチェーンを取ったかと思いきやそれをみずきに投げつける。分銅がついていてコントロールされたそれは、みずきの首に巻きつき背後の木にくくりつけた。
 「うわっ」
 瞬間的にのどを締め付け軽く窒息する。幸いにして拘束だけが目的だからそれがとどめにはならなかったものの絡み付いて外せない。
 「身動きできまい。死ね」
 木刀を手にしたGは鬼のような表情で突っ込んでくる。取り外すのが間に合わない。
 (確かに…怒りは力を引き出すが、冷静さをなくさせてプラマイゼロだな…)
 冷静になったみずきが分析する。充分にひきつけてから自由になる腕に『気』を溜める。
 「ビッグバン」
 爆裂したそれはGの木刀を粉みじんにしてG本人もふっ飛ばす
 「うわぁぁぁぁぁ」
 守ってくれるプロテクターを失った状態で、まともに胸部に衝撃を食らった。
 (この痛み…女の痛み…ああ。いくら男のふりをしても…叶わぬ話か)
 女の身である事を痛烈に重い知らされ、肉体よりも精神的に打ちのめされた。
 ようやく戒めから抜け出したみずきが近寄る。
 「ふ…ふふふっ。自分で言っときながら怒りで自滅するとは…戦士失格だな…そして疲れたよ。男であり続けることに。
受け入れて…女として生きるべきなのかもしれない。お前に負けたのがその証明か」
 「グレッグ…」
 「…私は一つウソをついていた…グレッグじゃないの…グロリアよ」
 あえて女言葉を使う。声も高い。敗北により自身の中でも決着がついたようだ。
 「行きなさい。あなたのお友達はあの屋敷の最上階にいるわ」
 「わかった…」
 自分も男と女を行ったり来たり。Gの怒りは理解できる。言葉をかけないことで、情けをかけた。
 (でも…オレって男なのかな? 女なのかな? なんだか…どちらも自分だけに、どちらが本当かわからなくなってきた…)
 あまりすっきりとはしない勝利が、苦味と疑問をみずきの胸に残した。
 それでも今はそれを忘れて走る。姫子を助けるために。

 「G!?」
 盟友であるGの悲鳴をサラの耳は捉えた。そのために七瀬が走り出したのを見ていなかった。
 あわてて彼女の動きを探る。
 (発汗量安定。動悸も走っているため速いがそれだけ。迷いがない。このままだと…私に切られるだけ。一切動きにうそがない。どういうこと? わざわざ斬られに…)
 何はともあれ間合いに入れば斬るしかない。サラは刀を繰り出した。
 その瞬間に七瀬の手が動く。その動きを読んだサラは動揺する。
 (そんな馬鹿な。その動きだと…)
 止められない。刀は七瀬の胴を狙ったが、それの前に七瀬は折りたたんだ腕を盾として繰り出したのだ。
 「ぐッ…」
 苦痛に顔の歪む七瀬。
 達人であるサラ。最初のひじから先は骨ごと断ち切ったが、二の腕までは切れず、止められた。
 「何故だ? 逃げれば追わないといったはず。むざむざ腕を捨てるとは」
 七瀬は答えない。答えるどころではない。脂汗が浮いている。激痛に耐えている。物凄い出血…それが止まってきた。
 「傷が? あなたの能力は修復か!? そして腕を治せる。如何に私でも骨二本は断ち切れない。刀を止める目的だというのですか?」
 返答は脚でした。攻撃を止め、充分に接近した七瀬はまずサラの左足に蹴りの連打を見舞い粉砕した。
 そして体勢が低くなったところで、次に右腕を潰した。
 「きゃあああああっ」
 これでは探知は出来ても戦闘は出来ない。七瀬の勝ちだ。
 「はぁはぁ…はぁはぁ…」
 荒い呼吸をする。いくら修復したといえど腕を真っ二つにされたのだ。血も流れた。落ち着くには時間もかかる。
 「な…何故だ。どうしてそこまで…いくら治せるといえど…痛みは伴うのに」
 「私自身もだけど、ダンシングクイーンにも真剣白刃取りのようなまねは出来ないわ。止めるにはこれしかなかった。
覚悟はしていたわ…戦って流血なしのはずがないもの」
 答えになってない答え。だがサラは自分には血を流す覚悟が足りなかったと悟った。
 「私はまだ…修行が足りなかったようです。うわべしかみえていなかった。心の奥底…『そこまでのの覚悟』は見抜けなかった。この足と腕の痛み。憶えておきましょう」
 「まってて。姫ちゃんを助けたらあなたの怪我も治してあげるから」
 ふらつきながらも七瀬は館を目指す。
 (御武運を…プリンセスの前には最強の彼がいます。お気をつけて)

 危機一髪。Rを止めたのは太いチェーン。
 「このチェーンは…ま、まさか?」
 「エレファントノーズ」
 この巨体を持ち上げたのは夏木。四季隊の夏木山三。
 「苦戦しとるなぁ。手助けするぞ」
 言うなり巨漢は巨体を手繰り寄せて宙に舞わせる。そのまま地面に叩きつける。
 「ああ。グラップルロボ!!」
 悲鳴を上げるリッキー。どうやら首の部分は弱いらしい。それを叩きつけられたのでは動揺もする。
 「どういうつもりだ? 敵のアンタがアタイを助けるたぁ」
 睨み付ける真理。苦笑して否定する夏木。
 「そう怖い顔をするな。今は無限塾と悪漢の抗争でもない。女が困っているのだ。助けるのが男だろう。なんせわしゃあフェミニストなんでな
 「ふぇみにすとぉ?」
 意外といえば意外な言葉に素っ頓狂な声を上げる真理。
 「いつぞやだってアケミの手前やりあったが、女に手を上げるのは好かん。助太刀するが…条件がある」
 「条件?」
 鸚鵡返しに真理がつぶやくと一転して情けない声で夏木が叫ぶ。
 「アケミには黙っててくれぇぇぇ。アイツの敵であるあんたを助けたとあっちゃ愛想つかされてしまう。あいつに捨てられたらわしゃあ…わしゃあ」
 「わ…わーったわーった。情けない声で泣くな」
 「それじゃ黙っててくれるんじゃな」
 「ああ。恩を仇で返す馬鹿じゃないつもりさ。この場は素直に受けとくぜ」
 追撃のチャンスを今の会話で逃したと言うか、Rが立て直して向かってきた。
 真理はガンズンローゼスで夏木の心を読んだ。ロボットの心は読めない。操縦は既にリッキーの手を離れたのでリッキーの心を読んでも意味はない。
 夏木の攻撃を読んだ。打撃技で迎え撃つつもりだ。
 (それじゃ)
 真理も同系統で合わせた。
 「マンモスタスク」
 「アラウンド・ザ・ワールド」

 双方の乱舞系の大技が首に見舞われる。叩きつけられていたこともあり、もろくなっていたジョイントから頭部が吹っ飛ばされた。
 「よっしゃあ。打ち首獄門」
 「馬鹿かい? まだカメラアイをやられただけだよ。R。やれ。お前の熱センサーはまだ生きているだろう」
 首をなくした甲冑が迫ってくる図は三流ホラーのようだった。
 「ちっ。首が飛んでも動くとはゴキブリ以上にしぶとい。けど…これならどうだ」
 真理はあえて自分からRに接近する。そしてガンズンローゼスを首の穴からむき出しのメカに接触させる。
 ガンズンローゼスを通じて高圧電流が、本来流れない回路に流れ込む。とたんにショートしてしまう。これではさすがに機能停止するしかない。
 「気をつけ」の姿勢であちこちから火花を散らしつつ倒れるR。
 「ああ。グラップルロボ!?」
 悲鳴を上げるリッキー。やがて、動かなくなったRにすがり付いて号泣した。
 まるで肉親の死体にすがりつく子供のようで後味が悪かったが…時間がなかった。館を目指す。
 「しかし…アンタも無茶するなぁ。何をしたのかわからんが」
 「ン? ああ。どうやら電気を通すことが出来るらしい。カメラを探ったときに電気の流れを感じ取れたからね。だから一番弱い部分に流してやったのさ。
アレだけ頑丈じゃ中が水に触れることなんて考えてないし、弱い電流で逝くと思ったよ」
 「なんのことじゃ?」
 「なんでもないさ」
 マリオネットマスターでない夏木には今ひとつ理解しきれなかった。
 二人は目的こそ違えど走る。

 そして…対峙する二人の男。互いに隙をうかがっていた。
 (なかなかに楽しめる緊張感だ。しかし…そろそろ動くか。あの忍者ヤロウだ。俺の一撃目をかわすだろうな。そして隙のでかいところを突いてくる。ならよ…)
 月が…雲に隠れた。闇が訪れる。
 狂虎が走る。牙をむき出して。
 「しゃああああああっ」
 「ぬんっ」
 秋本の予測どおり十郎太はこれをブロッキングした。
 (当然、次が来る。だがそれをこっちが捌いてやる)
 ところが十郎太はずいと接近する。捌くつもりでいた秋本は虚を突かれそのまま掴まれる。
 「しまっ…」
 言い終わる前に投げ飛ばされていた。瞬時に体勢を立て直すが迎撃体勢までは無理だった。
 「風間流究極奥義 不動明王陣」
 高めた神気で初めて可能な、超人的な動きで四方八方から攻撃を仕掛ける。中心部にいる秋本はなすすべもなく叩かれるのみだ。
 「うわあああああああっっっっ」
 全ての攻撃を食らって吹っ飛ぶ秋本。倒れ伏す。
 「…悪く、思うな」
 言うなり先を急ごうとする十郎太。
 「ま…待て」
 立ち止まる十郎太。
 「教えろ…どうして俺は…お前に勝てない」
 いわば完敗宣言である。それを重んじて十郎太は少しの時間を裂く事にした。
 「拙者が斃れれば…それは姫の瞳が涙で曇ることを意味するでござる。拙者、それは真っ平御免」
 「そうか…お前の強さは…守るものがいる強さか…なぁ、もし俺が誰かのためにお前を倒そうとしたら…」
 「おぬしの思いが強ければ…拙者も負けるやも知れぬ」
 「そうか…だがそれは無理か。今はまだ、そんな奴はいない」
 無言の二人。
 「行けよ。お前のお姫さんはあのてっぺんに閉じ込められている」
 「…すまぬ」
 十郎太は風になった。

 「ざまぁねぇな」
 倒れた秋本にかたりかける声。
 「…サルか…」
 秋本を連れ戻す命を受けてやってきた三人。別行動で探して春日が当たりだったのだ。
 「はははっ。負けちまったよ」
 「それでどうしてそんな表情だ」
 そう。秋本はさわやかな表情をしていた。
 「自分でも不思議だよ。まぁ納得はしたがな。そうか。守る強さか。よし」
 半身を起こした。木刀を杖にして立ち上がる。
 「決めたぜ。風間。この戦いは俺がお前を守ってやる。そしてお姫さんを救い出せ。さもないとテメーは腑抜けになっちまうからな」
 今まで倒れていたと思えないほど勢いよく立ち上がる。そして走り出した。
 (やれやれだ。総番。連れ戻すにゃまだ時間がかかりそうですぜ。仕方ない。俺も付き合ってひと暴れするか)

 秋本の破気を十郎太の神気…いや。風が吹き飛ばした。
 そしてその風は、春日達四季隊の破気も吹き飛ばした。
 春日も秋本の心に共鳴して戦いの場へと身を躍らせた。

次回予告

 姫子を目前としてラッキーセブン最強・最後の一人が立ちはだかる。十郎太達はこれを撃破して、姫子を連れ戻せるのか。
刻々とタイムリミットが迫る中、最後にして、最大の戦いが始まる。
 次回PanicPanic第28話「Final Fight」
 クールでないとやっていけない。ホットでないとやってられない。

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