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 とある晴れた日。
 僕・二村司とさつきちゃんは街を歩いていた。その…つまりデート。
 既に進学は決めてお気楽に春の日差しを楽しんでいた。

 それがいきなり変わった。
 何? まるで列車がトンネルに入ったかのようなこの感覚は?
「つかっちゃん?」
 となりのさつきちゃんも不安そうだ。
「大丈夫だから」
 何の根拠もないが元気付ける。
「違う。空を見て」
「え?」
 僕は驚いた。
 さっきまで真昼だったのに今は真っ暗だ。
 しかもビルが倒れている。
 その壁面をまっ逆さまになりながら歩く青年がいた。
 白いマフラーの茶髪の生年。男なのにとても白い肌。
「着せ替え少年」
 彼は僕に向かってそう呼びかけた。
「それって僕のこと?」
「そうです。着せ替え少年。あなたはこれから九つの世界を旅しないといけない」
「九つの世界を旅する? 何でそんなことを」
「それは……城弾シアターが十周年。DECADEだからです」


城弾シアターディケイド
作:城弾

「ハ?」
 一応それはわかる。1999年に立ち上げたというが実際は2000年くらいの活動開始。
 それなら2009年は十周年で良いだろう。
「けど、どうして僕?」
「はっはっは。何を仰る。あなたほどの適任者がいるわけないじゃないですか」
 僕はまったく意味がわからない。しかし彼はお構い無しに続ける。
「何しろあなたの作品ときたら『頻出するライダーネタ』『なりきる主人公』。おまけになにしろあなたは『つかさ』という名前ですし。それで十年目。『ディケイド』で主役にならない道理もないでしょう」
 何という理由で。大体「つかさ」という名前はあっちの方が後だぞ。
「さぁ。準備はよいですか? そうそう。世界にあわせてあなたたちの役回り。場合によっては年齢なども変わりますからお気をつけて」
「だーかーらー」
「ではよい旅を」
 言われてぐらっと足元が揺れる。
 僕たちは奈落に落ちた。

「あいた!」
 下に落ちたはずなのに真正面に痛みを感じた。それも胸……わあああっ。いきなり女の子になっているっ。
 それもこの制服。青いジャンバースカートにボレロ。この制服って。
「あいたたた」
 そんなことを考えていたら僕にぶつかったらしい相手が、その小柄な体を起こして立ち上がる。
「ぼけっとしてないでくれよなっ」
 短い髪の襟足を束ねた女の子。胸はとにかく大きくてバランス悪そう。とにかく気の強そうな娘。
「廊下を走るみずきが悪いんでしょ」
 傍らにいた栗色の髪の女の子に窘められる。こちらは優しいお姉さん…というかお母さんキャラ?
「だって七瀬」
「いいから」
 その七瀬という女の子は強引にみずきという女の子の頭を下げさせた。
 そして二人は立ち去って行った。
「つかっちゃん。ここって?」
 同じくジャンスカ姿のさつきちゃんが言う。
「うん。どうやら『PanicPanic』の世界らしい」
 
 僕もタイトル以外は詳しいことを知らない。そこに二人して放り出されたんだ。

 私立無限塾。入試は形だけ。くるもの拒まず。去るもの追わず。
 その伝統で富裕層の子供が入学してきたり、行き場のなくなった不良もくるとか。
 ただし学校は荒れてない。教師が平気で体罰……というか武力行使をする校風だった。
 それが僕の掴んだこの学校に関する情報。
 僕は…そう。『僕』という自己代名詞なのに女の子になっている。
 どうやらこの世界の僕は無限塾の二年生らしい。
 一応は男で通学しているもののしょっちゅう女子制服で登校して、もうどちらでもありというのがここでの僕らしい。
 うう。元のまんま。

 現在は物理の授業中。中尾勝。通称がカオスの教師が教壇に立っていた。
 この人、去年までは人当たりのいいいい先生だったのに、春休みにあった事件で人が変わってしまったという。
 それは連続殺人鬼と遭遇した話。
 意外にもその殺人鬼「斑 信二郎」は浮浪者だった。
 それともみ合って転落した中尾先生。
 結果として殺人鬼は事故死。警察も追及をやめた。
 そして中尾先生はそこから人格が変わってしまった。
 一説ではいくら殺人鬼で、事故とはいえど人ひとり死なせたからとか。
 まぁそりゃ確かにショックだろうけど、この陰気なのは勘弁して欲しい。

 それにしても僕のこの世界での役回りは?
 とりあえずこの学園の生徒になっているけど、ここで何をするのだろう。
 そして何が待つのだろう。
「二村。何をぼけっとしている?」
 気がつくと例の「カオス」…「なかおすぐる」という名前からつけられたあだ名。
 混沌とはなかなか洒落ているけど、背後に気配もなくたって声をかけられた僕としてはたまったものじゃない。
「は、はい」
 とりあえず黒板に目を戻す。特に追記はない。
 でも授業に集中してなきゃそりゃ注意もされるか。
「すいません」
 とりあえず謝った。でも先生はその冷たい目を外さない。
 どこを見ているの? 顔じゃない。首筋?
「……いいな。細くて白くて」
 ぞっとした。なんなの? この悪寒。
 変質者…ううん。実物に遭遇したことはないけど例えるなら「殺人鬼」がしっくりくる。
 そんな恐い目をしている。
 恐いといってもにらんでるとかじゃない。むしろ恍惚としているけどそれが人のものに思えない。
 僕は思わず身を竦めた。だが救いは意外なところからきた。
 外からスピーカー越しの声が聞こえてきた。
「ちっ。またあの馬鹿どもか」
 彼は僕の事等忘れて窓を確認に行く。
 大多数の生徒も窓に駆け寄ると…なにこれ?
 学生服の一団。今時珍しい「番長」の集まりだった。そうとしか見えない。

頓挫しました(ちゅど〜ん)


 城弾シアター十周年企画でやるつもりでしたが夏コミ原稿と重なったのと、パワーが続かなくなったこと。
 無理してやっても以前の「オールスタークロスオーバー」の無反応を考えると何か微妙な気がすること。
 そして八月に間に合いそうもないので。
 それならもっと後で暇になったらとも思うけど、完全にタイミングを逸しているし。
 その頃にはパロネタの「仮面ライダーディケイド」も終わってますから。

 けどお蔵入りにするにはわたる(?)の一言がちょっと惜しいので公開です。

 ちなみに回る予定だった世界は
「PanicPanic」…いわずと知れたこのサイトの代表作ということで。
「湯の街奇談」…シリーズものの一つとして。ここではつかさは妊婦の予定だった。
「ボーダーレス」…文庫さん投稿を目論んでいたので文庫さんデビューのこれ。
「同居人」…ただ生徒か教師で迷ったけど。
「PLS」…ここでは教育実習生の女子大生。まりあに恋愛相談を受ける。
「とらぶる☆すぴりっつ」…姉妹作ということで。ここではトイレ清掃のアルバイト。女子トイレに駆け込んできた真澄と遭遇で。
「美少女組長奮戦記」…ここでは久美のお世話係。「このまま自分もヤクザになっちゃうのでは」という妄想で。
「アンテナショップ」…メイドの一員。
「戦乙女セーラ」…ここが9番目。ここでは戦乙女エックスに。変身アイテムはバトン。エンジェルフォームは上がベスト。下がプリーツスカート。
 バトンからロッドでヴァルキリアがチャイナ服までは決めていた。
 たぶんフォームチェンジはチャイナ系でヌンチャクとハンマーだったのではないかと。

 最後に戻ってきた「出発地点にして10番目の世界」「着せ替え少年」の世界。
 だから異世界では女の子になってもフォントが変わらない予定でした。
 戻ってきてそれが出て。
 もちろん「着せ替え」の特徴の一つであるライダーパロも。

「メイド オブ ファイア」がないのは以前にコラボしたから。
 同様のパニパニだけどさすがに無視できず。

 まぁちょっと厳しくなったのでやめました。

「十周年記念企画ページ」

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