華代ちゃんシリーズ


大きなおなか
作:城弾

※ 「華代ちゃん」シリーズの詳細については、以下の公式ページを参照にしてください。



http://www.geocities.co.jp/Playtown/7073/kayo_chan00.html

 こんにちは。初めまして。私は真城華代と申します。

 最近は本当に心の寂しい人ばかり。そんなみなさんの為に私は活動しています。まだまだ未熟ですけれども、たまたま私が通りかかりましたとき、お悩みなどございましたら是非ともお申し付け下さい。私に出来る範囲で依頼人の方のお悩みを露散させてご覧に入れましょう。どうぞお気軽にお申し付け下さいませ。

 報酬ですか? いえ、お金は頂いておりません。お客様が満足頂ければ、それが何よりの報酬でございます。

 さて、今回のお客様は……

「ふぅ…ふぅ…よいしょ。よいしょ」
 大きなおなかをゆすって巨漢が歩く。顔中汗まみれでゆっくりと。
 身長が166に対して体重147キロ。どう見ても体重がありすぎだ。
 彼は公園を見つけると中へと入る。そして空いているベンチに腰掛ける。重みでベンチがしなる。
「ふぅ…」
 ハンドタオルで汗を拭う。呼吸を整えると恨めしげに巨大な腹を見る。
「ああ。いつになったらこの大きなおなかが小さくなるのだろう」
 実は汗まみれで歩いていたのはダイエットのためのウォーキングだったのだ。

 ゆったりしたはずのジャージが大部余裕がない。
 短めの髪が汗で頭皮に張り付いている。
 メガネがずり落ちそうだ。
 そして誰が見ても一発で印象付けられる巨大な腹。
 名前が「河津太」と言うのは運命の皮肉か?

「おにーちゃん」
 休憩をしていた太に小学生くらいの少女が話しかける。
(いつのまにきたんだ? 気がつかなかった。まぁここは公園だ。子供がいて当然だが)
「なんだい? お嬢ちゃん」
 見た目の印象と裏腹に子供には優しい太。
「なにかお悩みありませんか?」
 そういうと可愛らしいポシェットから「名刺」を差し出した。そこには

 「ココロとカラダの悩み。解決します 真城華代」

と、だけあった。
「心と体か…」
 つぶやく太し。言うまでもないと言う表情だ。ぽんと腹を叩く。まるで御伽噺の狸だ。
「なにかありませんか?」
 つぶらな瞳で見つめてくる華代。
「あるさ」
 即座に子供に答えるほどの悩みとは?
「このお腹。これが重くて歩くのすら辛い。見てくれ。汗をやたらかくから髪の毛が貼り付いてしまうんだ。長くなんかしたら洗うのも大変だろうな」
「ふむふむ。それから?」
 カウンセリングのつもりか? 先を促す少女。
 それにのったのか溜め込んでいたものを洗いざらいぶちまける太。
「腹だけじゃないんだ。二重顎で不細工な顔だろう。吹き出物もあるし。だからもてなくてデートもしたことないんだ」
「なるほど。つまりお腹を小さくして、顔をすっきりさせて、汗もかかないようにして、髪の毛を長くして、異性に愛されるようにすればいいんですね?」
「はは。出来るのかい? 出来るなら君は魔法使いだ」
「違います」
 きっぱりと否定する華代。
「私はセールスレディーです」

 例えに魔法使いを出したせいか?
 華代は腕を可愛く振って見せる。
 その途端に変化は訪れた。
 だぶだぶにたるんだ腹が風船がしぼむように縮んで行く。
 表現としてはむしろ掃除機で中の空気を吸い込んでいるようだ。
「は…腹が?」
 食事制限も運動も徒労に終わらせた巨大な腹部が見る見るうちに縮んで行く。
「お…おい。これはちょっとへこみすぎじゃ…」
 胸部よりはるかに小さくなった。
 その胸元。肥満体ゆえに元々膨らんでいた胸元。
 それはそのまま…いや。肥満ゆえの脂肪過多ではなく女性の乳房に形を変える。
 それ以外の胸部はすっきりとしてコンパクトになる。いつの間にか肩幅も小さくなっていた。
 下半身の脂肪もすっきりとして来た。よく見ると足の形も変っている。女の足だ。
 もとから埋没しかかっていた男性のシンボルが完全に消失。代わりに男性を受け入れるための器官が形成される。
 その頃には全身の無駄毛が抜け落ちて綺麗な肌になっていた。
 反対に髪の毛は爆発的な勢いで伸びて背中に達する。
 顔も小さくなり優しげな白い肌の丸顔に。

「えーと。お洋服もだぶだぶですね。サイズをあわせますね」
 言うなりランニングが柔らかい素材ながら胸をしっかり固定するスポーツブラに。
 ジャージが波打ちなが縮む。素材自体も変化してエクササイズ用のそれに。色は赤。
 ついでに履いていた28センチのスニーカーも24センチのピンクの可愛いデザインに。

 太は一転して158センチ。42キロ。上から88。58。89と言うゴールデンプロポーションの女性へと変貌した。
「はい。これで終わりです」
「あ…あの…」
 いえなかった。公園の内外から男と言う男が太だった美女にアタックを開始し始めたから。

 今回のお客さんはありがたかったです。あれだけはっきりと要求してもらえれば仕事がやりやすいです。
 いつもはこちらが「こうかな?」と推測して仕事しちゃうんですが。
 大きなお腹を悩んでましたからウェストの細い女の人にしました。
 異性に愛されたいと言うから綺麗な顔にも。男の人にもててたみたいでしたね。
 仕事が上手く行くと気分いいですね。それじゃ



「ふう…ふう…よいしょ。よいしょ」
 あれから2年。かつて太といわれていた女性は、大きなお腹を抱えて汗だくになって歩いていた。
 また太ったと言うのか? そうではない。
 休憩地点として設定した公園を見つけると中に入りベンチに腰掛ける。
「ふう。いつになったらこの大きなお腹が小さくなるのかしら?」
 口では文句だがマタニティドレスの上から愛しそうに大きな腹をなでる。
 彼女は今、妊娠九ヶ月だった。

 美女になったとたんに男にもて始めた。
 愛されることになれてなかった彼女はあっさりとプロポーズを受諾。
 そして今その大きなお腹には愛の結晶が。
「はやくでてらっしゃーい。うんと可愛がってあげるから」
 自分の肉体を恥じていた青年はもういない。
 そこにいるのは大きなお腹に愛を詰めた未来の母親だった。


 同じ大きなお腹でも男と女では意味が変ると言うのが発想です。
 身体的なものをテーマにするのはちょっとどうかなと思いましたが「幸せになる落ちなら許してもらえるかな?」と思いまして。
 ちなみに僕は5フィート11インチ。230ポンドです。人事じゃありません(^^ゞ

 本当はもうちょっと太はいじけた男にしたかったのですが、なんかこうなっちゃいました。
 まぁ性格のいじけた男が改心もなしに幸せになっちゃうのもなんだったので、これはこれでいいかなと。

 出産しても男には戻りません(笑)
 宝田温泉にいったわけじゃないし(ああ。早く書かないと)

 華代ちゃんはもう一本ストックがあるのですがこれまた太目の男のネタ…

 今回もお読みいただきありがとうございます。

城弾

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