第20話「Dreams of X’mas」Part4

 通路。向かい合う九人の高校生と二人の男性。
 この図の中心は誰が何と言おうと高嶺親子である。
(この人が……)(まりあちゃんのお父さん?)(ちょっと似ているかな?)
 そんなことを思う女子たち。
 続いて過去に聞かされたことを連想した。
「過保護な父親」と。

「ご無沙汰してます。お父様」
 クラスメイトがあまり耳にしないよそ行きの声。そして笑顔。
 「大人」の対応だ。
「まったく。放っておくといつまでも顔を見せないで。だからこうして来たのだぞ」
 両手を広げて抱きしめようとする。
「あーら。お父様。使いの者がわたしのことはお伝えになってません?」
 礼嗣の動きがぴたりと止まる。
「な、何のことかな?」
 冷や汗たらり。図星を突かれたという表情。
(このとぼけ方。間違いないな。監視させているな。僕なんか第一に警戒されているだろうな)
 そう結論付けた恭兵の推察は当たっていた。入れない校内はともかく、さりげなく登下校は見張られていた。
 だが、いくらアプローチしてもみじんもまりあがなびかないので、恭兵は逆に安全パイとみなされていた。

 おほんと咳払いをする礼嗣。暗に「話題を変える」と宣している。
 まりあに異存はないのでそのままにしておいた。
「ところでまりあ。この方々は?」
 笑顔だが目が笑ってない――そんな礼嗣の表情だ。
「高校のお友達よ」
 無難に「本当のこと」を言う。
「おお。それはそれは」
 一応は向き直り礼をする。
「初めまして。まりあの父です。娘がお世話になってます」
 頭を下げる。このあたりはさすがに「大人」だ。
「こちらこそ高嶺さんにはお世話になってます」
 こういう時に頼りになるのが詩穂理だ。きちんとした対応をとる。
「ふむ。ところで」
 いよいよ「本題」を切り出しにかかったのは、誰の目にも明らかだ。
「今日は男子の皆さんもいらっしゃるようですが、この中に娘と親密なお付き合いをしている方はいるのですかな?」
「パ……お父様!?」
 あまりに直球な問いに、思わず学校で見せる表情に戻りかけるまりあ。
 どさくさに紛れて何か口走りかけてもいる。

 恋人同士の関係というなら「いない」
 まりあが優介にアプローチをかけているのは、蒼空学園の生徒も教師も知らぬものはないが、その優介が逃げ続けているのだ。
 他の男子には目もくれない。
 それが学園の貴公子とまで言われる好男子の恭兵でもだ。
「ばれては仕方ありませんね。実は」
 その「好男子」が髪をかきあげながら「名乗り出よう」とした。
 礼嗣は明らかに「娘に手を出したら承知しねえぞ」言外に示しているのだが、それが読めないのか。
 あるいはむしろ逆手にとって特別な相手と見做され、外堀を埋めにかかったか。
「あ、あたしと付き合ってます。彼は」
 その意図を正確に見抜いたか、あるいは単に嫉妬からかなぎさが前に出る。
「お、おい」
(話を合わせて。どうみてもあのオヤジさん。まりあの相手にいい顔しないよ)
 小声でなぎさがいう。言われて恭兵が礼嗣を見ると疑惑の目で見ている。
「娘に手を出したら殺す」とそのまなざしが語っていた。
(なんかまずい。ここはごまかすか)
「いやぁ。こいつと付き合っているのがばれてはいけませんね。周囲はみんな僕とま……御嬢さんをカップルにしたがってますけど」
 どさくさまぎれにとんでもないことまで言う。
「はっはっは。そりゃスタイルの良い美男美女。まとめたくもなりましょう」
 話を聞いていない。むしろ「聞いている」からこそ「無視」して恭兵となぎさでまとめにかかる。
 まりあの身長は158センチと平均的。
 なぎさ本人は「大女」と気にしていたが、この長身はやはり「かっこよかった」のである。
 そして恭兵だとそれをしっかりと受け止められる。

「それじゃああなたが?」
「違う」
 大樹が否定したのでむしろ安堵した礼嗣。
 こんな鬼のような男と可愛い娘が付き合っていたりしたら?
 見た目で判断するべきではないが、そうは言えどこんな大男に連れ去られたらさすがに立ち向かえる自信がない。
 大樹はまるでその父親の心情を察したかのように、無言で美鈴を抱き寄せる。
「だ? 大ちゃんっ!?」
 小声で驚いた声を出す美鈴。しかし驚きはしたがいやがってはいない。

 仮にここに双葉がいたとしても妹である。肉親では恋人の偽装はできない。
 だから美鈴を選んだのは分かるが、それでもこの場で詩穂理ではなく、自分を選んだことに胸が熱くなる美鈴だった。
 ただ頬が熱く赤くなるのだけは、どうしようもなかったが。
 子供じみた見た目と相俟って何とも微笑ましかった。
 またもや見た目の印象でだが「この二人は本物」と思い込んでしまった礼嗣。
 いや。あながち思い込みとも言い切れないが。

 ビンゴ大会はまだ続くが、当然ながら生理現象を優先される。
 女子トイレ。
 鏡に向かい化粧を直しているみずき。
 それを苦々しい思いで見ている七瀬。
(去年もこうしてみずきはトイレで化粧直しをしているのを見ていたっけ。あの時のみずきは正気を失っていたけど、今もまともとは言い難いわ)
 ルージュを塗るみずきの手を見る。
(今もこうしてネイルアートなんてしているし)
 小さな爪に描かれていた。
 はっきり言うと「女性人格に乗っ取られていた」前年一時期より、春休みからずっと女子としてるまう現在ははるかに「女子力」が上がっていた。
 半分女子でいることを受け入れたら、それまで反発していた反動でこうなったが、ここまで来ると本当にみずきが「また」心から女の子になってしまいそうで怖くなってきた七瀬。
 そうでなくても前年はさんざんりまわされたのだ。

「んー。こんな感じかな? どう。七瀬。口紅をピンクから赤にしてみたけど」
「…………あんたねぇ」
「やっぱりけばけばしい? ピンクのほうがレディって感じかしら?」
「何がレディよっ。自分の性別わかってんのっ?」
「男よ。でも今は女の子。それも本当の」
 それはパーティードレスからのぞく谷間が雄弁に物語っていた。
 高く済んだきれいな声も、とても男が出せるものではない。
 白くきめ細かい肌が甘い香りを放っている。
 そしてドレスのスカートに隠された足の付け根には男性を受け入れる部分はあれど、女性と結ばれるためのものがなかった。
 この時点でみずきは「心身ともに」女子だった。
 そしてそれが七瀬をイラつかせる。
「このまままた心まで女になったりしたら……」
「ちょっ……七瀬?」
 温厚な彼女だがそれだけに切れると凄まじい。
 その危険な兆候が表れてきた。

「今すぐ男に戻すわ」
「や、やめてよ。こんな恰好で戻されたら笑われるわ」
 穏便にと女言葉のままだったのが逆に七瀬の神経を逆なでした。
「……その気持ち悪い言葉遣いも男ならできないでしょ」
 七瀬がじりじりと迫りつつある。
「身の危険」を感じるみずき。
 逃げ出すがドレスの上に踵の高い靴。思うように走れない。
 もっとも七瀬も同様。あえて言うなら「生まれつきの女の子」でスカートさばきがみずきより年季が入っている。
 それがアドバンテージだが、元々がさほど足は速くないので相殺されていた。

 トイレから走って出てきたみずきと七瀬。
「はい。七瀬さん」
「ありがと。姫ちゃん」
 どういう連携なのか姫子がすでに水筒を用意していた。
 それを手にみずきを追いかけだす七瀬。

 礼嗣の詮索は続く。
 今度は赤毛の少年に目を付けた。
「すると」
「違うぜ」
 いきなり詩穂理を抱き寄せる裕生。
 見せつけるためのものだが、それでも詩穂理には刺激が強い。
「オレはこいつと結婚の約束をしているんだ。高嶺とは単なる友達だぜ」
(結婚って……それは子供のころの、それもお祭りで。でもこの場はそれがベストかも)
 話を合わせにかかる才媛。
「え、ええ。そういうことに」
 嘘とはいえど「婚約者」としてふるまうのはさすがに恥ずかしかった。
 しかも普段から一緒の面々の前である。
 反面どこか気分もよかった。
 それがよかったのか「本当」と見做されたらしい。
 いや。とにかく愛する娘に「悪い虫」が付いていないと思いたいのかもしれない。

「さて。そうなると」
 問題の優介。そして理子だった。
 この二人は「男同士」だ。
 もっとも理子はもはや「男」とは言えない。
 それが「恋人」のまねごとをするのか?
 関係を知る一同は緊張してきた。
「あなたがうちの娘と?」
 優介に直接問いただす礼嗣。
「違うよ。ぼくにはこいつがいるから」
 理子を見る。
 嘘とはいえど優介に恋人として扱われた理子は、完全に『女の表情』で頬を赤らめる。
「なるほど。しかしあなた方は他の人たちほど親密ではないようてすが?」
 肉体的接触がないのを指摘している。
「なら」
 優介が腕を少し上げる。理子がためらいつつ自身の腕をからめようとした時だ。
「お父様っ。詮索がすぎますわ」
 さすかにまりあが口をはさんだ。見ていられなくなったのだ。
「い、いや。私はお前のことを思って」
「だからってわたしのお友達にこんな失礼なことを言うなんてあんまりじゃないっ」
「無礼は謝る。だかお前にはふさわしい男を夫として」
「恋愛は自由でしょ。時代錯誤もいいところよっ」
 段々まりあもエキサイトしてきた。
 様々な面で満たされていながら、唯一どうにもならないのが「優介との恋」
 それでイラついているのをさらに刺激されて「切れた」
「パパのバカっ。大っ嫌いっ」
 「パパ」という呼び方から察するに「幼い娘」のそれにまでなってしまった。
「だ、大嫌いだとっ!?」
 愛する娘に罵倒されて落ち込んだ……というのは勘違い。
「嫌いったら嫌い。パパのわからずやっ」
「ああ。懐かしい。小学校の低学年の頃のようだ。あのころはとにかく天使のようにかわいくてなぁ」
 親バカ。ここに極まれり。
 追憶が追及を止めてしまった。

 その後は必死でまりあをなだめるダメな父親。
 恋人の追求どころではない。
 しかし久しぶりに「父と娘」の関係を満喫できたからか。
 どこか満足げに立ち去る礼嗣だった。

 トイレという人目につかないところからの追いかけっこ。
 逃げるみずきはホールに戻ろうとするが逆に人気のないところに行ってしまう。
 その先にはプレゼント交換会の会場にされた部屋が。

「いやぁ。すごい『パパ』だったよなぁ。あれには向かって『大っ嫌い』とかいうのもすごいけど」
 からかうようななぎさの口調。
「……忘れて」
 両手で顔を覆っているまりあ。それでも冷静さを取り戻してきた。
「もう。うっかり子供のころの呼びかたしちゃったじゃない。お父様ったら」
「ま、まぁ別に子供のころからの言いかたでもいいじゃないですか。高嶺さん」
「そうだよねぇ。詩穂理はそうだよねぇ。ねえ。ヒロくん
「なんで綾瀬にそんな呼びかたされるんだ?」
 首をかしげる裕生。赤くなる詩穂理。完全になぎさに遊ばれている。
 同じ年の女子でさえ苗字に敬称で呼ぶ娘が、一人だけは幼い日のままの呼びかただ。からかわずにはいられない。
「別にいいよね。パパって呼んでても」
(こいつは普段からそう呼んでそうだな?)
 見た目の幼さもあり疑われるには十分な美鈴だった。

 追いかけっこは続く。まくつもりがどうにもうまくいかない。
 そしてみずきの視界に固まっているまりあたち九人が入る。
「もう。こうなったら」
 追いつけない七瀬が水筒のふたを開け、みずきめがけて投げつけた。

「ぼくも初めて会ったよ。まりあの親父さんとは」
「えっ? そうなの」
 驚く理子。幼なじみと聞いていたから面識があると思い込んでいた。
「わたしが優介の家の隣に越してきたのは高校入学のころよ。それまでは遠かったの」
 やっとごまかせると安堵するまりあ。
「だからわたしも優介のお父さんにはあったことがないのよ」
「北海道に単身赴任中だからな」
 それぞれ相手の親にあったことがなかったのは、意外に思えた関係だった。

「どいてどいてどいてぇーっ」
 ツインテールの眼鏡の女の子がつっこんでくる
「キャーッ。よけてぇー」
 追いかけていた少女。七瀬の投げた「水筒」が宙を舞っていた。
 しかもふたがあいている。
 必死で逃げる少女……みずきは障害となる少女。理子をよけようとする。
 その理子は衝突を避けようと避ける。
 それが同じ方向で激突してしまう。
「きゃーっ」
 そのままもつれ合う理子とみずき。ドジとドジが重なり合った。
 よりによって倒れたところに水筒の中身……お湯がかかった。

 みずきを追っていたのは七瀬だけではなかった。その面々が呆然としている。
 一方のまりあたちもだ。
 もつれて倒れ込んだところに少女はいなかった。
 いたのは二人の「女装少年」だった。
「「男の子になった?」」
 姫子は理子……理喜の姿に驚き、まりあはみずき……瑞樹に唖然となる。
「あ、あなた。もしかしたら夏祭りで」
 理喜の記憶がよみがえる。
 そう。初対面ではない。
 何しろ二人といないであろう『同じ体質』の少年だ。忘れようがない。
「とにかくこのままではまずいから」
 詩穂理の言葉でプレゼント交換会に使った部屋に移動となった。

 互いに事情を説明する。
 理子とみずき。そろって中学三年の時の「事故」で水をかぶると女になり、お湯をかぶると男に戻る体質になったところが一致していた。
 ただみずきがそれまで一年を女としてふるまい続けていたので、女子と見做され正体を「バラした」後も「女子としてふるまう」という条件付きで残留しているのに対して、理子は学期ごとに転校を重ねるという点では正反対だった。
「こんな不思議な話が他にもあるなんて……」
 しみじみとまりあが言う。
「わたくしも驚きましたわ。まりあさん」
 まりあの親友。姫子が同意する。
「なんだよ。教えてくれりゃこっちも苦労しないで済んだんだがな。上条」
 こちらも中学時代の親友同士である裕生と上条明か会話していた。
「赤星のプライバシーだし、そもそも言っても信じてもらえる話じゃない」
「確かにな。特にお前じゃ何か新しいアニメの話かと思っちまうし」
「そうだな。僕も風見が言うと何か特撮の話かと勘違いするだろうし」
「お前の場合勘違いしてもすぐに気が付くだろうがな」
 笑いあう。そのタイミングで扉がノックされる。
「お嬢様。お二人の着替えが済みました」
 ずぶぬれになった瑞樹と理喜は別室で着替えていたのだ。
 それを案内してきた雪乃。
「どうぞ」
 入ってきた二人は好対照の衣装だった。
 先刻までツインテールの美少女だった瑞樹は、そのまま少年の姿に戻った。
 化粧はもちろんネイルアートすら落としてある。
 小柄だがスーツが意外に似合っていた。
「おっ。けっこういけるじゃん」
 ハーフゆえ色白の長身。金髪の真理がざっくばらんに言う。
「ありがと。まぁどうせだから今度はこっちでパーティーを楽しもうかと。もっとも姫ちゃんのところじゃこの姿のつもりだったから、ここでは羽目を外して女だったけど調子に乗りすぎたようだし」
 ちらりと七瀬を見る。
「似合っているわよ。やっぱり男の子よね」
 満足そうに笑う。
 反対に理子。そう。「理子」は改めて女の子になってきた。否。戻ってきた。
 ウィッグは外したが、やはり別の紫色のドレス姿だ。
 同じ体質の二人の「心の性別」がよくわかった。

「それにしてもあんた。その体質でうまくやっているんだ?」
 瑞樹にストレートに問いただすなぎさ。
「オレもばらした時は転校を覚悟の上だったんだが……」
「みんないいのりしてるよね」
 こちらもツインテール。体格も胸のなさも美鈴といい勝負の綾那が言う。
「ノリ?」
 珍しく大樹がリアクション。
「まー。たいていのことじゃうちの連中はおどろかないしな」
 榊原和彦はただ単に「事実」を言ったに過ぎない。
 しかしそれはあまりに大きな「事実」だった。

「なぁ。もしかしたらだが……あっちの学校に行けば万事解決じゃないか?」

 恭兵の言葉ではっとなる一同。
「言われてみれば」
「もうすでに同じ体質の人が二年近く上手くやっているし」
「一人増えたところで」
 ここまでのネックはその体質故に、理子は女子としてふるまう必要があるというところ。
 しかし隠し通せず居づらくなり、転校を繰り返していた。
 ところが姫子たちがいる学校。「無限塾」ではすでに赤星みずきという前例がいる。
 それだけに事情の理解も普通よりは容易と思われる。
 しかもみずきは受け入れられている。
 大いなる希望が持てる。

「理子。まだ転校先が決まってないなら」
「で、でもこんな急に大丈夫なのかしら?」
 そうは言う理子だが、既に高校生活を諦めかけていたところにこの「大逆転」で声が震えている。
「心配無用でござる。我らが塾長は志さえ見せていれば受け入れるお方」
 「ござる言葉」を使う「現代の忍者」である風間十郎太の言葉だけに、なおさら説得力があった。

「こんな……こんなことって」
 とうとうこらえきれずに涙のこぼれる理子。
「よかったね。理子」
 こちらも喜びの涙を流すまりあ。
 二人の少女は抱きしめあって泣いた。

 諦めかけていた高校生活を続行できるのは、理子にとって最大のクリスマスプレゼントになった。



 そして終業式の日。
 式典も済みホームルームも終わり、後は帰るだけのところをみんなで残っている。
 黒板の前でかわるがわる記念撮影をしている。

「それにしてもさ……なんであんたは制服の『予備』なんて持ってんのさ」
 なぎさが呆れ顔でまりあに言う。
「え? 何かあったら困るから二着用意するものじゃないの?」
 まりあは女子制服を2セット持っていた。
 それを一週間ごとに洗って交換していたのである。
 そのうちの一着を持ってきていた。
「まぁ今回はそれがよかったのだし」
「それに夏には男子の服を用意していたし」
「それは忘れて」
 とは言うが後にして思えばそれも理子に対する「対抗意識」。
 ちょっと懐かしくもある。

「それじゃ最後。まりあたちね」
「はぁい」
 呼ばれてまりあ。優介。詩穂理。裕生。なぎさ。恭兵。美鈴。大樹は黒板の前に行く。
 理子が佇んでいた。
 ボブカットはそのままだがスクールブラウスに赤いチェックのプリーツスカート。
 ベストの上から同色のジャケット。ワンタッチタイプの赤いリボン。
 まりあの持つ「蒼空学園女子制服」に身を包んだ理子がいた。
「通りすがり」ではなく、この学園の生徒だった証として、同じ制服姿にしようとまりあが言い出して、終業式だけこの制服姿だった。
 理子を挟むようにまりあと優介が位置につく。
 口を開きかける理子だが、珍しくそれを阻害するかのようにまりあが先に口を開く。
「元気でね。理子」
「あ……」
 言いかけていたのは「さよなら」たったが気が変わった。
「また会いましょう。まりあ」
 再会を約束した言葉にした。
 まりあと理子。二人の「少女」は指切りの代わりに、その華奢で柔らかな白い手を固く結んだ。

 その直後の撮影だったが、どの一枚よりも優しく、女らしい、柔らかい笑みの理子だった。


蒼空各園の生徒だった証に

このイラストはOMCによって作成されました。
クリエイターの對馬有香さんに感謝!



 そして蒼空学園を去った理子がどうだったかというと……

第20話「Dreams of X’mas」EXに

PLS専用掲示板へ

城弾シアターウィキへ

PLSメインページへ

トップページへ