警視庁。外部にならともかく内部に「踏み込む」機動隊員たち。さすがに初めての経験。
 まさかここに踏み込む日が来るなどとは夢にも思わなかった。その思いを胸に進攻する。
 対して事務職員などは退避している。
 目的の部屋の前で機動隊員がジュラルミンの盾を全面に押し出してちょっとした壁を作る。通路はふさがれた。
「よし」
 それを確認した「刑事」がマイクで呼びかける。私服ではなく完全武装している。
「三田村さん。あなたに容疑がかかっている。任意の出頭で……三番取調室まで御同行願います」
 一応は「グレー」だ。敬語で接する。しかしそれでも現職の警部に「取調べするからこい」などと言うのはためらいがあり言いよどむ。
 機動隊の者には「これでもぬけの殻なら笑いものだ」と笑みが出ているものもいる。
 だが笑い者ならまだいい。下手すると殺される。そう認識している隊員には笑顔はない。

 しばらく待つが返事がない。
「出た様子は?」
「ありません。しかし通報が事実なら……」
 窓から逃げ出すくらい「怪人」には造作もない。そういいたかったが言えなかった。
 中から扉をつきぬけて飛んできた「あばら骨」がその警察官を貫いたからだ。
 狙ったわけではなくたまたま軌道上にいた不運だった。
「おいっ。しっかりしろ……!?」
 男子警官だったそれは見る見るうちに傷がふさがり女の姿へと変わって行く。
 意志の光のない瞳で刑事を見据えると、いきなり首を締めに掛かる。
 あわてて他の機動隊員が引き離そうとする。そのときだ。中から扉が蹴破られた。
 三つ揃えのスーツに身を包んだ三田村がタバコを燻らせながら出てきた。
 口ひげがダンディなイメージだが細面がどこか女性的な印象もある。
「騒々しいな。何の騒ぎだ?」
 見た目のイメージどおりの低い声。だが全員にはっきりと聞き取れた。
「警部……」
 常日頃、上司として認識している相手に逮捕状どころか武器を向ける。
 そんな割り切りはなかなか出来るものではない。
「敵を前に躊躇するとは嘆かわしいな。私はそんな風に指導した覚えはないのだが」
 紫煙をはきつついう。
「敵?」
「お前たちが私にかけている容疑はこれだろう」
 三田村はタバコを投げ捨てた。同時にその姿が女の物に。
 それも人の女ではない。蛇のようなうろこで武装している。
 大きな金色の目が不気味に光る。
 三田村刑事と融合したガラ将軍の戦闘形態。便宜上スネークアマッドネスと呼ばれるそれだ。
「う、撃てーっ」
 目の前の存在が「容疑者」から「化物」に変わり「セーフティ」が外れた。
 一斉に射撃を開始するが、そのうろこが強度と微妙な角度で弾丸をはじきダメージを軽減する。
「なってないな。鍛えなおしてやる。わが配下となれ」
 ものの十分もしないうちに十数名が殺害され、奴隷女として再生された。
 勇猛でなる機動隊員も指揮を待たずに逃げ出した。
「ふん。逃げ出すような腰抜けには用がない」
 本当に興味がないらしく残ったものにだけ視線を向ける。
「よし。お前たちは私の手伝いをしろ」
 新たに得た配下に命じスネークアマッドネスは悠然と警視庁を出て行く。

戦乙女セーラ

EPISODE45「将軍」

 福真署のエントランス。ジャッカルアマッドネスとの激闘でめちゃめちゃな状態だ。
 その中に清良。ブレイザ。ジャンス。友紀。合流した岡元。森本。キャロル。ドーベル。ウォーレン。そして一城薫子。渡会のり子の二人の女性警察官がいた。
「はは。ちょっとした被災地だな」
「不謹慎よ。清良」
 軽口を叩く清良を友紀がたしなめる。
 しかし清良の例えはまさにそのままであった。
 壁には弾痕。多数の器物は破損。機能回復に時間が要りそうだった。
 すぐにでも掛かりたいところだが二人の女性警察官は連絡を取るのに夢中だ。
「カオル。やはり連絡が取れないわ」
 沈痛な面持ちの渡会のり子。元々堅物で笑顔をあまり見せないが、この時はより重い表情をしていた。
「早まったかしら……」
 こちらも暗い表情になる薫子。早急に身柄確保と通常の犯罪者相手の時の「習性」が出て連絡をいれてしまった。
 三田村がアマッドネス。その推測が外れていたならいい。
 だが最悪の形で的中したのを悟った。

 そしてしばらくしてから警視庁が内部からのアマッドネス出現で混乱していたことを知る。
 三田村は推測どおりアマッドネスで機動隊員や警官を奴隷女に変えて自分の兵隊に。
 そのまま姿をくらましたと知らされた。
 二人は本庁へと急行することにした。
「オレたちも行こうか?」
 代表して清良がいう。ブレイザ。ジャンスに異存はない。
「いえ。あなたたちはとりあえず帰っていいわ」
「そんな場合じゃ」
「軽部さ…ジャッカルのアマッドネスとの戦いで疲れているはずよ。見つからないのに闇雲に探して体力を消耗させるのは得策ではないわ」
 理にはかなっている。納得が行く。
「今は帰って休んでおいて。でもまた」
「わかってますわ。敵を見つけたら」
「その時はあたしたちの出番ね」
 今度はブレイザとジャンスが答える。

 とりあえず解散となったのでジャンスは岡元にしがみつく形でウォーレン・バイクモードで。
 ドーベル・サイドカーモードを駆るのはブレイザではなく森本。負傷と疲弊を考慮してだ。
 気のせいかジャンスどころかブレイザまで「女の子の表情」だった。
(けっこう長い時間戦っていたからだよな?)
 自分たちの女性化が深い所まで進行しているとは考えたくない清良は自分をごまかしに掛かる。
「それではセーラ様。友紀様。私がお送りしますので」
 こちらも同様に疲労を考慮してキャロルが申し出る。しかし
「いや。キャロル。それはいいや」
 主がやんわりと断った。特に不機嫌そうには見えない。
「そう仰られますと?」
 疲れているでしょうに。そう思う従者だが清良が友紀の方を向いたのを見て瞬時に悟る。
 このあたりは女性としての人格のせいなのかもしれない。
 それを知ってか知らずかいつになく優しい声と表情で友紀に尋ねる清良。
「歩いていくか?」
 友紀はこくりとうなずいた。

 11月半ばだが街はクリスマス一色に染められていた。
 ショーウィンドーは雪景色を模した仕様に。
 赤と緑があふれかえり、クリスマスナンバーがひっきりなしに掛かる。
「もうすぐクリスマスね。なんだか色々あって忘れていたわ」
 商店街を抜けつつ友紀がいう。
「ああ。本当に色々あったな」
 友紀を相手に戦い、そして今度は友紀と共に戦う。そんなことはまったく考えてなかった。
 状況がめまぐるしく変わっていく。
 そのあわただしさから逃れたい気持ちが二人でゆっくり歩くという選択肢に出た。
「そ、それにしてもキャロルの野郎。変に気を回しやがって」
「うふふ。やっぱりキャロルちゃんも女の子なのね」
 歩いて帰るといった途端に人間だったら「にやり」と言う表情をしたように見えた。
 そして「では何かあればお呼びください」と姿を消したのだ。
「ったく。余計な気を回しやがって。お前の使い魔もどこにいるんだ?」
「使い魔?」
 照れ隠しに話題を変えているのはわかる。だからあえて話に乗る友紀。
「勝手に走ってくるバイク。あれは使い魔じゃないのか?」
「残念だがアマッドネスにそういう技術はなかった」
 いきなり二十台の女性の姿に変わる。セーラー服の少女ではなく黒いコートの女だ。
「おまえ……スズ?」
 隣がいきなり変われば当然の反応。
「あれは捨てられていた鉄の馬に私の魔力を与えてかりそめの命を与えただけだ」
「へぇ。タンクにゃガソリンの代わりに魔力が入ってするというわけか。それより何でいきなり出てきやがった?」
 言外に「いいムードを壊しやがって」と言う意味が込められている。
「すまない。だがこれだけは伝える必要があった」
 真面目な表情につられる清良。
「六武衆が全滅した今、恐らく次はガラが出てくる」
「将軍とかいう奴か?」
 スズは無言でうなずく。
「ま、将軍様としても面子が有るだろうしな。それに下っ端には任せてられないだろ」
 108とばかし思っていたアマッドネスだが、それはミュスアシを攻めた数。
 六武衆のようにそれ以外の者がいる可能性も有り、正確な残り人数はもはや不明。
 しかし上位とされる幹部級が全滅。確かに将軍自らの出陣もありえる。
「そして奴は私に対して遺恨を感じている。作戦の内容にもよるが戦いではまず最初に私を狙ってくるだろう」
「まぁあんたは強い。それにアマッドネスにも詳しいから色々ばれる前になんとかしたいだろうな」
 今は潜伏して準備していると言うことかと清良は考えた。
「つまり私といると襲撃を受ける危険性がある。あまり近寄らないほうがいい」
「ざけんな!」
 笑顔より怒り顔の似あう少年はそれにふさわしい怒声を浴びせる。
「だったらなおさら離れられるか。友紀も、そしてお前もオレが守る」
 このセリフに軽く驚いた表情になるスズ。達観している彼女には珍しい。
「私はアマッドネスだぞ。君たちの敵だ」
「あんた自分で言ってたろうが。奴らとは縁を切ったと。そして実際にオレたちと一緒にやつらを倒した。もう仲間だよ」
 真剣に怒っている。スズは怒鳴られているのに微笑む。
「な、何がおかしいんだよ。それにその体は友紀のだから。無事に返してもらわないと困るんだよ。だからオレが守る。お前から離れないぞ」
 照れてはいるが本気の言葉だった。スズは胸が暖かくなった。
(この気持ちは私の物か。それとも友紀のものかな?)
 そんなときに出る表情は笑顔しかない。心を許した相手に見せる無防備な笑顔。
「頼もしいな。そしてうらやましいよ」
 いうなり彼女は清良に抱きついた。
「な!?」
 動揺した清良だがそれだけではとどまらない。その状態でスズから友紀に戻ったのだ。
「ちょ!? 清良?」
 いきなり入れ替わって見たら清良と抱擁。しかも商店街で。赤くなる友紀。
「待て。誤解するな」
(発言は撤回する。友紀。しっかりと守ってもらえ。そのたくましい少年の腕で)
「す、スズさん!? そんな勝手な」
 二人は失念していた。
 ここが人でにぎわう商店街と言うことを。そこで抱擁していると言う事も。
「聞きました? 奥さん」
「ええ。最近の若い子たちは大胆ですわね」
「わー。お姉さんとお兄さん。恋人なんですか?」
「すっごぉい。らぶらぶ」
「けっ。リア充が。何が『お前から離れないぞ』だ。見せ付けやがって」
 主婦。小学生。大学浪人などが口々に好きなことを言う。
「あわわわわ」
「ま、待て。違うんだ。これはその…」
 真相をいえるわけがない。結局その場から逃げるしか出来なかった。

 充分に離れて息がきれて止まる。
「大丈夫か? 友紀?」
「私は平気だけど…あの…そろそろ…」
 走ったから頬が赤いわけでもないような友紀が上目遣いになって言う。
「ん?……わあああああっ」
 清良は走る間ずっと友紀の手を握り締めたままだったのだ。
 確かに言葉どおり離れようとしなかった。
「わ、悪い」
「う、うん。平気」
 二人は赤くなって離れる。
 そっぽ向いているが不仲ではない。
 恥ずかしくてとてもではないが顔を見ていられなかったのだ。

 ジングルベルの曲が流れる。

 二日が経った。しかし依然として三田村の姿は見つけられない。
「そうですか。警部はまだ」
 髪の短い女が表情を曇らせる。場所は復旧中の福真署エントランス。
 通常は清良たちと会談に使っていたエリアである。

 厚手の生地のワンピース。寒いこともありさすがに素足ではなくストッキング着用。
 きちんと化粧までしているその顔に面影があった。女性の柔らかい顔立ちに不似合いな鋭い目つきが特に。
 かつての名は軽部司郎だったがジャッカルアマッドネスに憑かれ、それから解放されて女性化したので軽部しのぶと言う新しい名前を名乗っている。
 「しのぶ思い」がネーミングの由来のようだ。
 犯罪行為は立証されているもののこの場合は「責任能力なし」で拘留されていなかった。
 大半の元・アマッドネスが善人と化す前例も考慮の上だ。
 重要な参考人として証言をしていた。
 それで身元不明のまま入院している記憶喪失の女性が、失踪中の中屋敷純郎の変貌した姿とも判明した。
「それでしのぶさん。三田村の潜伏場所に心当たりはない?」
 しのぶと呼んだのは当人が女性として扱われることを望んだゆえ。
 同性ゆえに届かなかった愛。しかし異性と化した今ならば……。
 だから積極的に女性として振舞おうとしている。それは衣類にも現れている。

 覚悟と言うなら薫子もだ。三田村を呼び捨てにしたのはけじめである。
 完全に敵と認識している薫子だった。
「いえ。残念ながら」
 嘘をついている様子はなかった。ひどく落胆しているのがみて取れる。
 これまでは常に職場に行けば「愛しい相手」がいたのである。それが所在不明。
 しかも逃亡者へと転じていれば案ずるのも無理はない。

 さらに三日が経ち唐突に事態は動き始めた。
 いや。それをいうなら深く静かに潜行していたものが浮上したと言うほうが正しい。
 三田村と十数名の奴隷女の潜伏場所はなんとやくざの本拠地だったのだ。
 ビルではなく和風の「屋敷」で確かに十数名でもなんとか「匿えそう」だった。
 むろんやくざが警察官を匿う道理もない。
 だが事情は至ってシンプル。組長を人質に取られていたのだ。
 おまけに叩けば埃の立つ身。そして意地もあり、また人質を取っていた「犯人」そのものが警察官だったから警察に知らせなかった。
 しかしそれは完全に裏目。
 三田村…ガラは組長以下すべてを奴隷女へと変えた。それを町に解き放つ。

 各地で無差別に暴れる奴隷女。
 だが体力がやや一般人より高い程度。
 武装した警官になら制圧できた。
 しかしそれがすべて同じ組員バッジをつけている。
 こうなると出向かないわけには行かない。
 そして相手がアマッドネスとなると清良たちにも召集が掛かる。
(挑発か? いずれにしても居所がわかったんなら出向いてやる)
 清良はキャロル・バイクモードを駆り現地へと急ぐ。
 スズにああは言われたが友紀を巻き込みたくないので知らせずに単独で出向いていた。

 組の屋敷。完全にここの主になった三田村は静かに笑っていた。
「包囲したことは何度もあったがされるのは初めてだな。こんな気分なのか。ふふふ」
 どこか居直った口調だった。
「舞台としては悪くない。後は役者がそろえば私の最後の仕事だ。やつらのうち一人でも倒せばよし。その後なら例え私が倒されても目的は果たせる」
 そこで言葉を切る。
「私が倒される…か。それもいいかもしれないな。アヌ。そしてクイーンと一つになれる」
 腹心の配下の「死」が彼をある意味で「急かしていた」。
「だがその前に奴だけは…あの日の始末だけは」
 宿敵・スズの顔を思い浮かべる。三田村のダンディな顔が憎悪で歪む。
「ギ……」
 見張りを務めていた奴隷女が報告してきた。
 やくざの屋敷だけに襲撃を警戒して防犯カメラなどもある。
 その映像に駆けつけた清良。礼。順の姿を認める。
「スズはこないのか? それならば引きずり出すまでだ」

 警察病院。
 眠り続ける広瀬葉子を診察する医者。病院ではひたすら異質であるメイド。秋野ひかりがおびえた様子で見ていた。
「ふむ。だいぶ体調がよいようですな。もう少しで退院出来ますよ」
 医者の方も最初は「メイド」に戸惑ったが、そのイメージから今となってはただの付き添いとしての認識だ。
「そ、そうですか」
 かつてはトードスツールアマッドネスであったが、その「力」を「食われた」巻き添えで女性化した元・秋野光平であるメイド。
 それだけにこの幼女に親愛の情や慈しみの感情はなかった。
 あるのはただ恐れ。
 手を出した結果がこうして下女として使われる日々。
 逃げても無駄な気がしていた。
 すっかり諦めた彼女はただただ葉子の御機嫌をとるばかりの日々。

 医師が立ち去った途端に幼女は眠りから覚めた。
「よ、葉子様。お目覚めですか」
 もうすっかり板についた女性的な笑みで接するひかり。どこか卑屈さが漂う。
「ひかりお姉ちゃん……私はあと少しでここから出られるぞ」
 言葉の途中で豹変した。前半は広瀬葉子としての人格だが後半からアマッドネスの長としてのそれに変わる。
「ロ、ロゼ様」
 ひかりから笑顔が消える。
 それを見てサディスティックな気持ちが満たされたロゼは満足そうに微笑む。
「さすがに六武衆クラスの力ともなると私に戻すにも時間がいる。だがアヌの力も私の物に戻した」
 長い年月でそれぞれの持ち主に合う「力」へと変質していた物を「消化」するのに時間を要した。
 微小な存在ならともかく強大であればあるほど長い時間が必要だった。
 しかしそれもあとわずかで仮の復活が出来るところまで蓄積されていた。
「後は戦乙女かスズ。あるいはガラの力。その二人分が戻ればこんなところとはおさらばだ」
 だからガラは戦いに望んだ。自分が死してクイーンに力をささげてもよいが、どうせなら敵を倒して同時にクイーン復活を果たしたほうがよい。
 そしてそれが怨敵・スズならどれほどよいかと思っていた。
 5日の潜伏はクイーンがアヌの力を消化するのを待っていたのである。

 屋敷の門をパトカーでふさぎバリケードとしている。付近の住民は避難させてある。
 本庁でのミスから警官隊はやや距離を置いている。もちろん防弾チョッキは着用済み。
 アマッドネスの力をどの程度防げるかは疑問だがないよりは良い。
 人間相手でも緊迫感のある場面。ましてや相手は「化物」で、そして警視庁の大物だった男。
 異様な雰囲気は当然だ。

 そんな入りづらい中に到着した清良たち。
 野次馬を整理している警官は所轄ではないが福真署からの応援だ。
 つまり清良が戦乙女と知っているから滞りなく彼らは薫子の元にたどり着けた。
 ただし警官隊の前で一般人が戦えるはずもない。それゆえ森本と岡元は野次馬と共に見守る羽目に。

「薫子さん」
 怖い表情の彼女にためらいなく声をかける清良。
「あ。きてくれたのね」
 切り札の到着でさすがに笑みが浮かぶ。
「すごいね。これ。映画みたい。でも本当に…!」
 順が言いかけて「いつもの気配」を感じた。当然だが礼や清良もだ。
「なるほど。誘き出された形か」
 礼がつぶやくがそれは承知していた。
「御丁寧にいることを知らしめてくれたか」

 三田村は意図して中でガラへと転じて見せた。
 これで戦乙女たちは自分が中にいることを知る。つまり目的どおり戦える。
「いけ。お前らは露払いだ」
 ここでやっと元・機動隊員たちの奴隷女が解き放たれる。

 変身前に先制攻撃をくらってはたまらない。三人は車を借りてその中で戦乙女へと。

 そしてガラの気配。戦乙女たちの気配を感じ取りスズも戦場へとはせ参じていた。

 屋敷は正門から建屋まで中庭のようになっている広いつくり。
 和風の庭園を思わせる。石灯籠や池まである。
 その建屋の門から銃弾が放たれた。
 映画のロケを見に来た感覚の野次馬の大半は、これが警察とやくざのいざこざと改めて認識してとばっちりを嫌い逃げ帰る。
 実際にはもっととんでもないが……そのままいたら「都市伝説」を目の当たりにしていたであろう。

 守りの立場でありつつ攻めに出る奴隷女たち。
 サイズはあってないが機動隊の衣類のままだ。
 いくら非情に徹しても元の仲間たちを撃つ「覚悟」はない包囲している方の機動隊は防戦一方だ。
 そして奴隷女に守られるように「主役」である三田村が姿を現した。

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