新年。
 僕は姉ちゃん。さつきちゃん。まことと一緒に温泉宿にいた。
 今日はここ「宝田温泉」で少年少女文庫に登場した城弾キャラによる新年会と言うことで招かれたのだ。
「うー。いかにも温泉って感じね」
 さつきちゃんが伸びをしながら言う。
「あー。やっぱり電車でよかったわ。車だと疲れるし飲めないし」
「まだ飲むんですか?」
 珍しいまことの突っ込み。
「たまにはいいんじゃない。新年会だし。僕も楽しませてもらおうっと」
「なにいってんのよ。司。あんた司会でしょ」
 え?


 城弾キャラクターズ新年会

Presented by 城弾


 宴会場。そこにいろんな人がいる。外国の人もいる。
 でもみんな浴衣姿。くつろいでいるのにどうして僕が司会なの?
「あんたが一番、登場回数が多いからじゃない」
 既に湯上りで缶ビールを口にしている姉ちゃんが軽い調子で言う。
「それを言うんならみずきさんたちは?」
 「PANICPANIC」の面々は本編中で新年会があるから…と言う理由だった。
「さぁさぁ。働いてらっしゃい」
 うう。お正月くらいゆっくりさせて欲しい。でも男でいられるならまだましか…

「それでは、ただいまより新年会を始めたいと思います。僕は幹事…と言うか司会の二村司です。どうぞよろしく」
 カラオケ用のマイクを使って挨拶すると喝采が。
 ううっ。こんなポジションじゃ食べる暇がなくて、せっかくの料理も冷めてしまうじゃないか。
 恨みがましく辺りを見るとそこらじゅう女の人ばかり。
 そりゃそうか。基本的に男が女になる話なんだし。だから男女比は圧倒的に女の方が上か。

「つかさ。それじゃそろそろ挨拶して回ってきなさい」
 紹介を兼ねてね…と、一升瓶を渡された。あうう。みっともないよう…
 でも姉ちゃんには逆らえない。仕方ないからU字型の端から順番に回ることにした。
「あの…あけましておめでとうございます」
 最初に出向いたのは男性一人。女性二人のグループだった。
「あけましておめでとう。ああ。君が司君か」
 がっしりした体格の男性が言う。傍らには寄り添うように女性が。その隣にもう一人の金髪の女性が。
「えと…みなさんは?」
「あたしたちは『ボーダーレス』のメインキャラクターよ。あたしは田島純子。本編中じゃ耕也だったけど」
「田島でもないだろ。純子。僕と結婚したんだから」
「あっ。そうよね。今じゃ佐藤純子だったわ」
 屈託なく笑う女性…やはり、もと男性!?
「僕は佐藤拓也。本編中じゃ佐藤加奈だったけどね」
「えーと…入れ替わりですか?」
 ふたり…三人は首を振った。どうやらこちらの金髪の女性ももと男性らしい。
 聞けば彼らの世界では大変なことがあったらしい。
 世界の大半の人が性転換してもう男女の壁なんて無くなってしまったらしい。
「あたしはもう女として生きて行く覚悟は決めて随分経つし、実際人妻だけど…あなたは大変ね。
 シリーズ続く限り小さな不幸の連続で」
 ああっ。同情どころかため息まで。なんか自分が凄く不幸に思えてきた…
 いたたまれなくなった僕は話題を変える事にした。
「あの…そういえばどうやって『転換者』たちは社会に受け入れられたんでしょう?」
「さぁ?」
 金髪の女性。中沢百合子さん。もとは健太さんが言う。
「さあって…」
「あの作者がそこまで考えていると思う?」
 う…そうかも。

 それにしても…文庫の読者さんたちもこんなシリアスで文庫さんデビューした作者が、その後お笑い一辺倒になるとは思わなかっただろうなぁ…
 一作目がいきなり違う作風と言うのも変化球投手らしいけど。

 次へ移動するとここは女性ばかり。
「はぁい。司くーん」
 この能天気な声は…見ると少女の両脇にメイドさんが。
「真彩香さん?」
 そう。以前にバイトしたことのあるお屋敷のメイドさんだ…って、あれ?
 あの時は正体は知らないはずなのに。
「固い事言わないの。そもそも正当エンディングじゃないし、この宴会だって作品の垣根を取っ払っての親睦会だし」
 もう一人のメイド。眉村沙紀さんがざっくばらんに言う。
 ちなみに沙紀さんは日本酒で、真彩香さんはオレンジジュースを飲んでいる。
 その真ん中の女の子…もしかして
「ありすさん?」
 こちらとのコラボでは少女チックな女の子だったけど、今は若干やさぐれ気味。
「なーんであたしがピンクの浴衣なのよ? いくら女姿で固定されたからってこんなところまで」
 でもさらっと女言葉を使っている。女子校に通う羽目になり、そのせいで女性化が物凄く進行しているらしい。
「ありすさま。そんな言葉遣いはいけませんよ」
「そーそー。今は可愛い女の子…ぷっくくく。あははははは。旦那様ったら。ホント可愛くなっちゃって。あはははは」
 正真正銘。お腹を抱えて笑っている。赤くなるありすさん。
「やかましい。大体作者の奴。後日談を書くといってほったらかしだし」
「でもでもご主人様。後日談が男に戻してくれる話とは…」
「そうそう。なんでも後付だけど、この薬を依頼した人間について設定が出来たと。
 それがだんな様のお嫁さんになるつもりだったのに、その前にちょっとだけ女の子の気持ちを知ってもらおうとしたらそのまま固定されちゃったと言うことだし」
 うーん。「Maid of Fire」チームも色々大変だな。次に行こう。

 って…次は姉ちゃんたち?
「なにしてんのよ? この順番はシリーズ開始の早い順よ。あたしたち「着せ替え少年」は三番目だからここじゃない」
「そっかぁ。そういえば最初は一本で終わるはずだったんだよね」
「そうよね。作者も文化祭は11月のつもりだったけど、次を書いたから春にしたと言ういい加減さだし」
「その割には毎回ライダーのネタだけはきっちり入れるのね」
「津垣先生からして『クウガ』の椿先生だし…」
「サブタイトルも二話目でギャルゲーから取ったもんだから、続ける羽目になったし。まぁ『夏色剣術小町』から『夏色』を取ったのもあるけど。
 ちなみに最終話のタイトルは『Φなるアプローチ』からとって『Final Approach』らしいわよ。
 あと#9は『プリンセスナイン』だって。バレーかテニスで『コートの中の天使たち』と言うのも候補だったらしいけど」
「ファイナルアプローチ? それってあたしが逆転して司君と結ばれるのかしら?」
「ちょっと」
 ああっ。こんなところでも火花を散らしているさつきちゃんとまこと。
 うーん。それにしても色々ばらしまくり。でも予定通りに進むのかな?

 続いたのがあれ? また学生さんとメイドさんたちだ。ここは…「老人と少女」ご一行様だ。
 と、言うことはこの女の子がもとは死ぬ寸前のおじいさん…
「あー。美味しい。生きているからこそ味わえるのよねぇ」
 なんだか食い意地の張り方まで女の子らしくなっている気が…本編のより胸が膨らんでない?
「真子。芽衣子。あなたたちも食べたら?」
 するとこのメイドさんたちは…もとの孫と弁護士さん…
「い…いいえ。私のような下賎の者に勿体のうございます」
「私たちはお余りで充分でございます」
 相当しごかれたらしく、見事なほど卑屈になっていた。
 それはそうと、どうやらおじいさんの隠し子と言うことで認識されて、屋敷に戻ったとか。
 そしてつけられた担当のメイドがよりによってこの二人とは。
 孫…真子。メイド…芽衣子だろうか? だとしたら名前までおざなりに…。
 うーん。どうやら何年か経っていたらしい。
 だからさくらさんは成長して、そして女の子としての生活に順応してこんなに女の子女の子しているのか。
 こっちの二人は言うまでもないし…

 次にいこうっと。

 ここは…珍しく若い男女だ。「ベッタベタ」御一行様だ。と、いっても双子の姉弟。
 小柄な女の子はお腹がきついらしい。
「もうだめ。食べらない。悔しい。こんなに美味しいのに…」
「無理すんなよ。優香里。もったいないからあまりは僕が」
 ひょいと手を伸ばす大柄な少年。それに食って掛かる優香里さん。
「ちょっと龍太郎。何勝手に食べてんのよ。断りもなく竹の子みたいに大きくなって。そりゃたくさん食べられるでしょうよ。
 あーあ。女は食道楽すら満足に出来ないのね。嫌だなぁ」
「ちょ…ちょっと優香里。こんなところで」
 慌てていた龍太郎さんだけど目を回した。優香里さんもだ。
「あの、大丈夫ですか!?」
 慌てて尋ねると二人がむくりと起き上がった。
「ああっ。またっ」
 自分の手を見て、次に胸を見て叫ぶ『優香里』さん。
「やりぃ。まだ食べられる」
 なんだか二人の様子が。でも優香里さんは足を閉じて浴衣の合わせもぎゅっとして、女っぽくなったような。そのぺったんこずわり。ひどく愛らしいんですけど…
 対して正座をしていた龍太郎さんは胡坐をかいてダイナミックなポーズで料理を食べ始めた。
 入れ替わりって…男の方が損な気がする…

 次は外人さんだ。日本語通じるかな?
「あら? あなたが司さんね」
 金髪の女性が立ち上がり握手を求める。なんだか男性的だな。
「初めまして。セシル・ブライアントです」
「もしかして…」
「ええ。もと男性よ。FMSと言う病気でこの姿に。でもアンナとは結婚できなかったけど、姉妹になって暮らして今は幸せよ」
「ところで伺いたかったのですが…あの受付嬢。もしかしてマクガイヤさん?」
「うふふっ。想像に任せるわ」
 うーん。でも華代ちゃんの仕事と言うのもちょっと強引かも…。
 もっともその手の力技を好んで使うからなぁ。この作者。
「そういえば知ってる? 本当は『pattern T』もあったらしいわよ」
「その『T』ってまさか…」
「そう。Tsukasa。あなたのことよ」
「ああっ。やっぱりっ」
「FMSに掛かってしまって捨て鉢になったあなたが、自棄になってさっさと女性の姿で暮らしていたら、FMSが治ってしまったと言うお話だったの。
 女性が掛からないからと言う発想ね」
 うう。あんな作者の元にいると何されるかわからない…

 ここは…空席だ。
 この場所にいるのは…『湯の街奇談』御一行…じゃなくて従業員なのね。この温泉が舞台なのか。
 なんだか悪い気がしてきた…もっとも進行中のシリーズなのであまりばらせないのもあるか。
 次に行こう。

 ハンターガイストチームは…ありゃ。ここも空席だ。どうやらハンター組織のほうの新年会に顔を出しているようだ。

 今度は…ヤクザ!?
 でも真ん中は女の子。茶碗蒸しを冷まして食べたが『熱いっ』と。かなり熱かったらしい。
「大丈夫ですか? 久美ちゃん」
「熱かったでしょう」
「あっしらがふーふーして差し上げますんで」
「ば…バカ。やめろ。過保護な肉親か。オメーらは」
 聞けばもとはヤクザの組長さん。それが不思議な現象でこんな小さな女の子になったらしい。
 その久美さん。恥ずかしいのか真っ赤になっている。隣の男の人に隠れて…うわ。めちゃくちゃ可愛らしい。その壁になっている男性がこちらをにらむように。
「二村司さん…でしたね」
 うわっ。じろじろ見て機嫌を損ねたか?
「はなしには聞いてましたが…可愛いですね」
 銀行員みたいな人が言う。いや。迫ってくる。
「おい。サブ。オメーのシュミは…」
「いえ。何しろ女の子になるくらいです。男相手も抵抗ないかなと…」
 ぞわわわわーっっっ。そっち系だ。この人。
 ま…まずい。何とかしないと。
「つかさっ」
 姉ちゃんの声。何かが僕に当たる。それを拾うと…口紅だ。助かったっ。
 大急ぎで口紅を塗るとたちまち女の子に。
「ちっ。そっちの体じゃ興味ないですよ。残念」
 本当に残念そうに舌打ちしてサブさんは席に戻る。
 助かった…
「はいはい。つかさ。その体にふさわしい衣装にしましょうね」
 ちょ…ちょっと、お姉ちゃん。トイレに連れ込んで…

 結局あたしは下着まで替えて、ピンク色の浴衣に着替えることに。
 髪もお下げにして女らしく。まぁいいわ。今回は『お仲間』がいっぱいだし。

 さぁ。最後は「同居人」後一行様だわ。
 ここは…大きな男の子と小柄な女の子。そして保護者の女の人。
「凄いわ。噂には聞いていたけど、着替えるだけで女の子になっちゃうなんて」
「美里ちゃん。あんまり詮索しちゃダメよ」
 メガネの女の人がやんわりと嗜める。大人の女性って感じで素敵。
「でも美里ちゃんも凄いよね。薬だけで見事に性転換したし」
 大きな男の子が言う。
「素直お兄ちゃん。順応力ありすぎ。戻って三日で男言葉に戻ったし。瀬奈姉さんなんかどんどん女らしくなるのに」
「だから早く薬を調達して頂戴。このままじゃ心から女になってしまうわ」
「それならそれで苦悩はないと思うけど。まぁ後日談はあるみたいね。でもそれで北原誠治に戻っても無事に済むかしら?」
「どういうことよ?」
「文庫の読者さんが女になった人が無事に男に戻りました…なんてストーリー喜ぶはずないもの」
 ううっ。人事じゃないわ。
 ましてまことがいるし…あたしがもし、女で固定されたとして、もと男でもかまわないからとあたしを愛した男性がいたとしても、戸籍の上では男同士でダメ。
 かといって女の子だが愛してくれたとしても、戸籍はよくても肉体的に同性では…
 ところがまことだと戸籍は女でも、肉体は男になれる。
 つまりあたしと結婚できる。
 そうなると…まことがあたしを女にしてしまおうと思っても不思議はないわ。

 宴は進み、だいぶいい感じに。鍋物や暖房。そしてお酒でちょっと汗ばんできたのかも。
 そんな時一人の若い女性が声を大にして言う。
「女性のお客様方。当温泉自慢の『子宝の湯』はいかがでしょう?」
「えー」「子宝?」「妊娠したらどうするのよ」
 女性陣の反応はあまりよくない。
「いえ。健康にする効果があります。それに美容にも」
 その『健康』『美容』と言う謳い文句にはちょっと心動かされたみたい。何人か立ち上がった。
「まぁ…松戸博士が完成させるまではこの姿だし、磨いておくのもいいかな」
「優香里の肌は手入れが悪いから…」
「親分さん。背中の流しっ子しましょう」
「待てこら…しかし確かにひとっぷろ浴びたいところだな。話の種に」
「瀬奈姉さん。いってみない?」
「そうねぇ…周りはみんな元男の女性なら気楽だわ」
 大挙して出向いてしまった。
「ちょっと温子。何を勧めたの」
 美人の仲居さんが。
「なにって…子宝の湯よ。一度試しに入れば次からは有料でも来るかもね。リピーターが一人でもでればいいなって思って」
「生まれついての女性ならいいわよ。けど男性に戻れるかもしれない人だと…」
「あの…どういうことです?」
 その仲居さん…いずみさんに尋ねた。
「子宝の湯は女性だと健康にさせてくれたり、痩身効果があったりと至れるつくせりなの。
 それは丈夫な子供を産めるようにするためなの。
 でも子供を産めない体の男性が入ると、強力な魔力で産める体へ。つまり女性にしてしまうんです
「そ…そんなバカな?」
「あたしが生き証人です」
 と、言うことはいずみさんも本当は男。
「そして効力をなくすには子供が生まれないと…」
 すると今は女性の体でも元に戻れるはずの人たちも、そのま女で固定されるんじゃ…



「みなさーん。入るの待ってくださーい」


 新春スペシャルと言うことでキャラクターの大宴会を。
 ホントに勢いだけで書いてます。
 もちろん文庫さんに投稿予定はありません(笑)
 したって撥ねられそうですし(笑)

 進行役はやっぱり司君。当初は変身は混ぜなかったけど、ちょっとくらい見せないと。

 ちょろちょろとその後の話とか、この後の構想。
 もちろん『着せ替え少年』の件とかも。
 最終話に言及してますが本当にエピソードだけは決まってます。
 サブタイトルも決定です。
 ただ…いくらでも間は詰め込めますけど(笑)

 「PanicPanic」キャラがいないのは本当に新年会の話があるからなのです。
 #36「山吹色の夜明け(仮題)」でまた姫子の屋敷でドタバタ。

 それでは皆様。
 今年もよろしくお願いいたします。

2005/1/3 城弾

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