愚兄賢弟と言う言葉がある。
 あたし・小早川 美咲(みさき)が賢い自覚はないけれど、これから叩き起こしに行く人物が愚兄だとは断言できる。
 階段を上りながらあたしはそんなことを考えていた。
 
 二階のあたしの部屋の隣。目的の部屋の前で立ち止まる。ここの扉をあたしは叩きまくる。
「アニキッ。いい加減に起きないと遅刻するよっ」
 若干切れ気味に怒鳴る。
 中からだらしない返事がある。よし。起きるには起きたね。
 これでお母さんからの指示は果たした。
 まったくもう。
 一歳とは言えど年長だと言うなら、それなりの所を見せてよねっ。
 実の妹に毎朝毎朝手間かけさせて。
 今日は朝錬で忙しいんだからね。

 うう…乱暴な起こし方をする奴だ。
 仮にも妹ならかわいらしく
「一大(かずひろ)お兄ちゃん。起きて」と「ほっぺにキス」くらいのことをしないと。
 そしたら俺は
「ば、ばか。俺達兄妹だぞ」と言うから
「なんで…血がつながってるの? お兄ちゃんを愛しちゃいけないの?」と…いかんいかん。
 つい妄想にふけってしまった。
 この妄想力じゃそのうちア○バグリーンかブラックとしてデビューする日も近いかもな。

 さて。起きるか。その前に可愛い妹に朝の挨拶。
 え? 美咲? はっはっは。血のつながった妹なんて愛でる対象のはずがないじゃないか。

 俺は俺の内側。平たく言うと「脳内」にいる「妹」に挨拶をした。
「おはよう。季実子」

 うんっ。おはようっ。お兄ちゃんっ。
 わたしはお兄ちゃんに挨拶を返した。
 わたし、小早川 季実子(きみこ)はお兄ちゃんの頭の中にだけいる女の子。
 お兄ちゃんはとてもわたしのことをかわいがってくれるし、わたしもお兄ちゃんが大好き。
 でも…頭の中だけじゃお兄ちゃんと手をつなぐこともできない。
 ううっ。わたしも表に出たいなぁ。

 これは一人の少年と、二人の「妹」の物語である。

NO SISTER
NO LIFE

城弾

 五月。風の柔らかいいい気候である。
 彼。小早川一大は通学のため駅へと向かっていた。
 中肉中背。顔立ちも平凡。成績はよくも悪くもなく。
 髪すら長からず短からず。
 きわめて平凡な少年だが、とある事情でクラスメイトから注目をされていた。
「おーっす。小早川」
「おーっす。岸本」
 同じ高校二年生。しかし彼、岸本は髪をオールバックにしているので若干年上に見える。
 端正な顔立ちによく似合っているのも確かだが。
「今日は妹は?」
「ん。いつもどおりここにいるが」
 一大は自分の胸を叩く。心にあり。そう言う意味だ。
「ちげぇよ。脳内じゃなくリアル」

「ああ」
 とたんに俺は会話の意欲を失う。
「アレならテニス部の朝錬とかでとっとと出たぞ」
「相変わらず現実の妹には冷たい奴だな」
「当然だろ。向こうも人のことを『お兄ちゃん』とは認めてないだろうし」
 子供の頃はもうちょっと可愛かった気がするんだが、いつの間にかあんな蔑むように。
「やはり妹は脳内に限る」
 力強く俺は宣した。
「程ほどにしとけよ。痛い奴だと思われるからな」
「何を言う。痛さは強さ
 あ。コイツ理解してないな。なんだ? そのやたらに深いため息は?
「ああ。わかったよ。いつか逢わせて欲しいものだな。その『妹さん』に」
「おう。見せてやりたいぜ。季実子はな、髪はそんなに長くないんだが、黒光りする美しい髪でな」
「リアル妹は茶髪気味だな。その反動か?」
「関係ない。胸もフルフラットで美しい」
「……ごめん。それはちょっと賛成できない。俺は美愛くるみみたいな巨乳が好みで」
「誰だそりゃ? とにかく背も低いが上目遣いがめちゃめちゃ可愛くて。細い体は抱き締めたくなる」
 思わず自分で自分を抱きしめていた。
 なんだかこうしていると、本当に季実子を抱きしめているような感じがするから不思議だ。
「まったく。見せられる物なら見せてやりたいぜ」

 ふえええっ?
 恥ずかしい。恥ずかしいよぉっ。お兄ちゃん。
 なんだかわたしも、お兄ちゃんに抱きしめられているようで恥ずかしかった。
 こんな人前で恥ずかしいよ。でも、そんな風に思ってくれてたんだ。嬉しい。
 ああ。わたしが本当の人間だったらなぁ。
 そしたらお兄ちゃんと一緒にあるいたり手をつないだり、キスしたりそれから…キャーッ。恥ずかしいっ。
 でもお兄ちゃんの赤ちゃんなら…ふええええっ。なに考えてるの? わたし。

 でも、本当に体が欲しいなぁ。

 授業が進み四時間目。
 一大のクラス。2−Cは2−Dと合同で体育だった。
 通常は男子。女子で別れてであるが、この日は持久力テストでまとめてマラソンであった。
 走りづめのサッカーであれど、授業となると出番を均等に与えるため多少は休めるが、マラソンではほぼ走りっぱなし。
 一大は盛大に体力を消耗した。

 一方、1−Dの美咲は四時間目終了時に英和辞典がないことに気がついた。
「あっちゃー。忘れてきたのか。仕方ない。確か今日なら」
 兄も英語の授業があるはず。しかし空腹が勝る。
 一大も昼食だろうと察し、終わったころに借りに行こうと決めた。

 疲れ果てた後から満腹になる。一大でなくともうつらうつらとしてくる。
「ちょっと寝るわ」
「そうしろそうしろ」
 岸本に伝えて机に突っ伏しかけた所に
「アニキいるー?」
 左右の二つのお下げを揺らして美咲が教室の入り口で叫ぶ。
「んー?」
 眠気が勝っている一大は興味を持てない。眠ろうとしている。
「あ。コラ。寝るなら英和辞典貸してからにしてよ」
 許可を取らずに教室内に入り込む美咲。
「…勝手に持ってけ…」
 もう考えるのも億劫な状態。
「そうするわ。全く。可愛い妹にもうちょっとくらい優しくできない?」
 カバンをまさぐりながら毒づく美咲。
「可愛い妹? 季実子にならいくらでも優しく…」
 ここで途絶える。眠ってしまったのだ。
「はぁ? 季実子? 誰よそれ」
 さすがの痛い少年。一大も実の妹に「脳内妹」の話はしてなかった。
 美咲が知るはずもない。

 お兄ちゃん。わたしのことを可愛いなんて…嬉しい。
 ああ。お返しにみなさんには、わたしからお兄ちゃんのよさを説明してあげたい。
 脳内だけじゃなくて現実に出たい。
 あれ? なに? これって…この感覚って。眠いのはなんで?
 わたしは眠りに落ちた。

 はぁ? 脳内妹?
 何よそれ? 現実にあたしがいるのに、「理想の妹」ですって?
 全く。妄想と現実の区別くらいつけてよね。
 あたしはかなり冷たい目で同じ母から先に生まれた男子を見ていたと思う。
……変ね? 髪の毛伸びてない?
 それに黒い。アニキはあたしと同じで天然の茶髪なのに。
「ちょっとアニキ?」
 あたしは「それ」の肩を揺さぶる。
 跳ね起きた顔はどう見てもアニキじゃない。
 フラットチェストで体はわかりにくいが、間違いなく女の子の顔だ。
「だ、誰?」
 アニキのクラスの面々も驚いている。
 その「女の子」は寝ぼけていた目の焦点があってきたら、甲高い声で叫んだ。
「ふええええええっ?」

 こ、ここどこですかぁ? わたしはお兄ちゃんの頭の中にいたはずなのに?
 それに回りの人たち。さっきまでお兄ちゃんの目を通して見ていた人達。
 美咲さん。岸本さん。柳澤さん。小須賀さん。
 なんでこの人達と直接顔を合わしているの?
 もしかして…
「こ、ここは現実ですか?」
「げ、現実に決まっているだろう」
 とまどい気味に岸本さんが答えてくれた。
 と、言うことは
 ふええええっ? わたし、実体化しちゃったの?
 確かめるべくわたしは自分のほっぺに手を当てる。
 感じる。手の平とほっぺの両方に感触を。

 ここはどこだ?
 夢の中か?
 ひどく暖かく心地よい。そしてまどろみに似た感じ。
 ん? なんで俺の手の平と頬に感触が?
 まるで自分の頬に手を当てているような。
「ふざけないで」
 なじみの声が響く。美咲?

「なにバカやってんのよ。アニキ。化粧までして女の子に成りすまして」
「い、いや。そんなことはしてなかったし、第一この娘。一大よりかなり背が低いぞ」
 わかっているわよ。そんなこと。
 でもこんな非現実的なことが起きるわけないわ。
「本当に女の子?」
 あたしは目の前の存在の胸元に遠慮無しにタッチしてやった。
 や…柔らかい。かなり平たいけど一応膨らみが。

「ふえええええっ!? 何するんですかぁっ」
 わたしの胸に触られた途端、体中になんともいえない感触が走る。
 こ、これが女の子の体なの?

 ひええええっ。な、なんだよ。まさか季実子の感触は俺にフィードバック…と言うか伝わる?
 パイタッチの感触なんて男が知るわけないし。
 二人で一つの体を使っている?
 そしてこの感触から察するに、肉体的には完全に女で、しかも精神も季実子の物。
 どうやら顔なんかも岬や岸本のリアクション見る限り季実子そのもの。

 つまり…俺と季実子が入れ替わった?
 いや。俺が季実子に変身した?
 明け渡したと言うほうが一番いいか。
 そうとしか思えない。

 ふっ。さすがは俺。他のやつらはまだ混乱しているが、日ごろから「痛い妄想」で鍛えているから、こんな非現実的な事態にもすぐ対処出来る……何の自慢にもならんな。
 それにしてもどうしてこうなった?
 あの時、俺は猛烈に眠かった。だからこれは夢かとも思うが、もしや眠ると交代する?
 現実味がないせいか、何の根拠も無しに戻れると決めつけていた。

 まったくもう。ふざけないでよね。
 あたしはかなりイライラしていた。
 なんとなくだが、この子は本当にアニキの頭の中から出てきたんだと思う。
 なにしろ目の前で変身されちゃ信じるしかない。けど、認めたくない。
 なんで現実の妹を差し置いて、こんな存在を作ってんのよ?
 あたしは絶対にこんな子を認めない。
「あなたがアニキの妹だって言うならエッチな本の隠し場所くらいわかるわよね」
「し、知ってますよ。ベッドの下」
「それくらいならあたしでも知ってるわよ。手前にいろいろと」
 まぁせいぜい雑誌のグラビアより、やや肌色が増えたかなと言う程度。
 お子ちゃまと思ってほうっていたけど。
「それはダミーですっ。本命はさらに奥の方にあるんです」
「へぇー。それってどんな本」
 あたしは自分でも意外なことに静かな怒りを含んでいた。
「いろいろありますよぉ。でもほとんど妹をテーマにした本ですよ」
 あたしの知らない情報で勝った気になったのか。得意げに薄い胸を張る。
 なるほど。わざと手前にどうでもいいのを置いて見つけさせて、本命への追求を外すとは小細工を。
 しかしそれをばらすこの娘。アホだわ…やっぱりアニキじゃない?

 季実子ぉぉぉぉぉぉッ。それをばらすなぁぁぁぁぁぁっ。
 ああダメだ。完全に知られた。俺の可愛い妹達を避難させないと。
 いや。その前にこの状況をなんとかしないと。
 完全に季実子と美咲で喧嘩になってる。
 可愛い妹と可愛げのない妹で。
 まずい。おとなしい性格に設定してある季実子だ。勝気な美咲に押し切られるのは時間の問題。
 可愛いからとちょっと頭を軽くしたのが裏目に出てさっきの有様。
 ああっ。誰か助けて。
 その祈りが通じたかチャイムがなる。これはさすがに美咲も戻らざるを得ない。
 睨みながら引き下がる。助かった…けど、このまま季実子の姿で授業受けるのか?
 どうやったらまた入れ替われるんだ?
 一難去ってまた一難。

 午後の授業が始まる。二つの授業はいずれも担任ではない。
 それでもぶかぶかの学生服に身を包んだ少女はあまりに目立つ。
「君は?」
「あ。はい。小早川一大お兄ちゃんの脳内妹。季実子です」
 可愛らしい声で返答する。緊張が周囲にまで伝わる。
「あー。脳内妹ね。小早川。痛い奴だとは思っていたが、とうとう妄想を実体化させるレベルにまで至ったか」
 さわらぬ神にたたりなし。そう言う方針のようだ。
 さっさと授業を開始した。英語だ。
 しばらく教師の声が響き、そして「この文章の訳を誰か」と言う。
 目を逸らす学生たち。だがなんと季実子が手を挙げた。
「おお。小早川…でいいのか?」
「はい。えーっと…」
 たどたどしく訳し始める。それは正解とはいえなかった。だが、懸命な姿勢は好感をもたらした。
「ふむ。間違ったとは言えど積極的に授業に参加する姿勢はとてもいいね」
「だって…お兄ちゃんの代わりにここにいるんですもの。わたしがきちんとしないと、お兄ちゃんが恥ずかしい思いをしちゃいますし」
 白い頬を赤く染め、うつむくと小さな体ゆえに自動的に上目遣い。
 それが男女両方に可愛い印象をもたらし、一発で受け入れられた。

 これはこの日最後の授業まで続いた。
 わずか二時間で季実子はクラスメイトに認知された。

「疲れたぁ」
 放課後になると机に突っ伏す季実子。
「おいおい。大丈夫か? 小早川」
 岸本が心配して呼びかける。普段から下の名前で呼んでなくてよかったと思う。
 一大と呼べばいいのか。季実子と呼べばいいのか迷うから。
「あ。はい。岸本さん。平気です」
 にこやかに笑う。とても愛想がいい。その笑顔にどきっとなる少年。
(落ち着け。コイツは小早川の変身。ときめくな。道を踏み外すぞ)
「でも緊張しましたぁ。いきなり現実世界ですもの」
 そう。現実である。ここに来て一つの問題につき当たる。
 この姿では帰れないと。
(どうしよう…なんとかお兄ちゃんと入れ替わらないと…ああ。答えがでないのに眠く)
 他者の干渉がなくなって緊張が解けたゆえ。彼女は睡魔に負けて寝息を立てる。
「お。おい。こんなタイミングで寝るな…何!?」
 岸本の目の前で眠る季実子は一大の姿へと戻る。入れ替わると言うべきか。
「小早川。起きろ。小早川」
「…………岸本? !? も、元に、元に戻っている」

「アニキ? 戻ったの?」
 先に帰って部屋着に着替えたあたしはびっくりした。
「ああ。季実子が寝たらなんとか戻れた。まいったぜ。あんなことが起きるなんて」
 どうやって戻るのかと思ってたけど、単純な話だったのね。
 なんかむかついて放置してきちゃったけど、帰れたんならそれでいいわね。
「しかし…女の胸って敏感なんだな」
 ポツリと言う痛い奴。
「エッチッ」
 あたしは思わずひっぱたきかけた。あわてて逃げて行く。
 まったくもう。デリカシーないんだから。せっかく女の子になったんなら、もう少し女の子の気持ちを理解しなさいよね。
 ん? ちょっとまって。
 あの脳内妹の感触はアニキに伝わっているの?
 それに居眠りして女になって、また寝たら戻った。
 だとしたら今夜寝たら明日の朝はまたあの脳内妹?
 ふぅん。そうかぁ。ちょうど明日は祝日だし。
 あたしはちょっと悪巧みを思いついた。
 まずは協力者が必要ね。
「ママァーっ。ちょっといいーっ」

 夕食の後でくつろぐ一大を強引に台所仕事に引っ張りだす。
 さらには勉強を聞きに出向いたり、逆に遊んだり。
 いつになく積極的に兄にかかわる美咲。
 不気味に思う一大だが、さすがに邪険にするわけにも行かず付き合う。
 だがさすがに眠気が勝る。それを言うとあっさり解放する美咲。
 まるでここまで寝ないようにしていたかのようだ。
 厳密に言おう。うたた寝を阻止していたのだ。
(これでいいわ。推測どおりならこれで朝には)

 顔に暖かい光が当たってます。これって…朝日なのかしら。
 朝日?
 わたしは跳ね起きた。
 ぶかぶかのパジャマ。お兄ちゃんのだ。
「……また入れ替わっちゃったみたい」
 声も女の子の物に。
 どうしよう…美咲さんは昨日見ているからいいかもしれないけど、お母さんにぱなんと説明しよう……足音がしているの? 一人じゃないみたい。
 この部屋の前で止まる。こんこん。ドアがノックされる。
 ど、どうしよう?
「起きてる? えーっと…季実子だったかしら?」
 美咲さんの声だ。なんで?
 そんなことを思っていたらドアがあいた。
 そこにいたのはやはり美咲さん。そして40にもうちょっとの女の人。
 優しい印象のその人は目を丸くして驚いている。
「ね。ママ。きのう話した通りでしょう」
「…本当にこの子が一大なの? 美咲」
 ふえええええっ。いきなりばれてますぅ。
「ちょっと話があるの」

 父親は既に出勤。休日の関係ない仕事だ。
 母親と二人の「娘」が居間で顔を合わせる。
「見れば見るほど女の子だわ。それにしてもずいぶんと可愛いのね」
 母親はしげしげと観察している。
「お、お兄ちゃんがそう言う風にしてくれたから」
「あらあら。大事にされているのね。現実の妹とはそんなに仲良くないのに」
 皮肉の意図はなく、単なる感想で発言する母。
「ね。あなた。季実子ちゃん? 歳はいくつ? やはり一大と同じで17歳なの?」
「えーっと…わたしがお兄ちゃんの頭の中に生まれたのは、三年くらい前だとおもいます」
「それじゃ三つね。美咲の方がお姉ちゃんね」
 どこか論点のずれている母親である。
「え…わたしにお姉ちゃんもいたんですか?」
 ずれてるもの同士でしっくりハマった。
「ちょ、ちょっと。何をいって」
 突然「妹」が出来て面食らう美咲。季実子の方は嬉しそうだ。
「嬉しいです。もう一人頼れる人がいたなんて」
 若干甘え気味による。
 普段ならそんな計算じみた行動。同性ならではの目で見抜いて突っぱねる美咲。
 しかし季実子がそんな計算を出来ないほど抜けているのは前日に承知。
 ましてや「想像」の産物。普通の人間より「萌え」に特化していると言うほうがしっくりくる。
 それで納得できた。

 そうなってくると俄然可愛らしく思えてくる。
 そして元々の「悪巧み」とベクトルが一致した。
「それでね。季実子。たぶんアニキとあなたは眠るたびに入れ替わると思うの」
「はい。そうみたいです」
「と、言うことは一日置きにあなたは存在していることになるわね」
 昼寝とか二度寝と言うケースを無視しての話。また意図的に無視している。
「そうですね」
 困ったような表情を見せる季実子。「現実問題」が直面する。
「だからね、あなたに必要な物をこれから買いに行きましょう」
「ふええええっ!?」
 これは季実子にも想定外のことだったらしい。
「あの…わたし…」
「ストップ。こうしてここに存在しているのだからそれでいいの」
「美咲さん…」
「あたしのことは『お姉ちゃん』と呼ぶように」
 近所に年下の女子のいなかった美咲は、女の子にお姉ちゃんと呼ばれたことがなかった。
 なのでつい口から出た、何も考えてない一言だった。
「は。はい。お姉ちゃん」
 予想外に季実子のこの言葉が耳に心地よかった。
「姉気分」になり、また手を焼かせる兄を下における思いが彼女を乗せた。
「よし。それじゃ出かける準備。着替えてきて」
 言うと美咲はまだ下ろしてない下着と、自分の服を季実子に渡した。

 お、おい。何が始まるんだ?
 美咲に渡された服を手に季実子は俺の部屋に。
 今は主導権は季実子だから俺には何もできない。ただ見ているだけだ。
 扉を閉じて鍵をかける。それからおもむろにパジャマを脱いで行く。
 服を着るよりたたむほうを優先してくれる。くぅー。わが妄想の産物ながらいい娘だ。
 体を共有してなければ抱きしめたい。
 下をたたんで、次に上だが季実子は何かとろんとした表情になったのが鏡に映る。
「…………お兄ちゃんの匂い……優しい匂い…」
 ぱふ。そんな感じでパジャマに顔をうずめる。
「……お兄ちゃん。お兄ちゃん。大好き」
……う、さすがにブラコン過ぎた「設定」か。
 この思いが届いたのか季実子は我に帰り、丁寧にパジャマをたたむ。
 そして最後に残った着衣。男物のトランクスに手をかけてゆっくりと下ろす。
 そのパンツを眼前に。え? まさかこれにも顔を?
 さすがにそれはせず。そっと床に置く。
 どうやら入れる為のランドリーバケットを持って来なかったことを悔いている表情。
 ああ。女の子の細やかな気配り。俺ならキャストオフしてそのままだが。
「えへ。お兄ちゃんのパンツ。後で手洗いしてあげるんだ。きゃ。お嫁さんみたーい」
 両手で握りこぶしを作りテレながら「いやんいやん」している。
 あ…ありがとな。でも結局はこの体は俺のだから、自分でやるようなもんだが。
「俺の体」?
 そういやそうだ。変身しているし、精神も季実子のものだが、この肉体は俺のもの。
 え? と言うことは今からパンティ穿くの? 俺が?
 うわぁぁぁぁぁっ。お、俺はイタイ自覚はあったがここまでは。
 超えてはいけない一線を…俺には「男の娘」を愛でる趣味はないと言うのに。
 しかしノーパンと言うわけには行かない。
 季実子はパンツに足を通すとゆっくりと引き上げる。
 いや。待て。確かに精神も肉体も女だがそれは抵抗が…。
 だがしっかりと腰を包んでしまった。
 うわ。ほんとに密着している。前にスキマがないのってなんか変な感じで。
 でも季実子にしたら当たり前。例え脳内にした存在でも「女の子」なんだから。
「えーと。これをはればいいのかな?」
 季実子が手にした物は絆創膏だった。あ。どう使うかわかっちゃった。
 上の方は正確なサイズがわからないとダメだしな。
 見ただけで美咲とはサイズが違うから、借りるわけにも行かない。

 それからキャミソールって奴。
 うわ。なんだこれ? 柔らかい。
 女の肌は繊細と言うがここまでの物でないと痛むのか。
 ましてや先端は絆創膏だけでノーブラ。保護のためにも必要か。
 うう。季実子は満更でもなさそうにポーズをとるけど、俺はさっきから変態になった気分だ。
 女装趣味の人間は好きにすればいいけど、その趣味もないのになんでこんな。

 絶対に美咲の陰謀…むしろいたずらだな。この服のチョイス。
 薄いピンクの長袖ブラウス。赤いミニスカート。ピンクと白のボーダー柄オーバーニー。
 くそう。みんな季実子に似合いそうだ。俺だってこんな服を可愛い妹に着せてやりたい。
 けど自分が着る羽目になるのは勘弁してくれ。
 本体と言うべき俺が暗澹とした気分なのに、鏡の中の季実子はとにかくいい笑顔だった。

 一通り外出準備が整う。
 あ。履物は美咲のサンダル。少なくともスニーカーとかよりは合わせられるか。
 母さんと美咲。そして俺と言うか季実子と言うかの三人で外出。

 駅に向かいつつ最初に寄ったのが、商店街にあるランジェリーショップ。
 当たり前だが男の俺は入ったことがない。
 同時に季実子もで、キョロキョロと見回している。
 可愛い女の子でよかった。男だったら通報される。

 用件はもちろん最後の砦。ブラジャー。
 絆創膏でデパートまでいく気はさすがになかったらしい。
 うええ。そうでなくても胸元がやたら敏感なのに、さらにそんな密着させるの?

 まずは試着室。そこで上半身裸になる。
 よかった。ワンピースだったらパンツ一丁になるところだ。
 店員さんがメジャーで胸囲を測る。膨らんだ部分と、膨らみかけた部分。トップとアンダーってのはこれ?
「AAカップですね。でもパッドいれてAで行きます?」
「……それでお願いします」
 胸のなさが数値で示され、くらい表情の季実子。
 貧乳は美少女。特に妹キャラのステータス。
 だが、それを気にしているのがより萌える。
 可愛い。可愛いぞ。季実子。

 予想外。ブラジャーって胸が薄くてもいるんだ。
 揺れない胸だけどやたら敏感で。あ。これも俺の設定。
 それが下着と言うガードで落ち着くんだ。
 知らなかった。
 しかし…だとすると女性にとってのブラジャーって、必需品と言うより「強要」なのか?

 よし。ブラはつけたわね。いくらキャミつけていても試着するのにブラはないとまずいしね。
 何より落ち着かないし。
 これでやっとあたし達は本来の目的地。デパートへと向かえる。

 デパートではまず制服売り場に向かう。
 このお店ではあたし達の高校の制服を取り扱っている。
 新入学の時期は過ぎているし、五月と一学期が始まって間もないから転校も考えにくい。
 それだけに在庫があるか不安だったが、たまたまあった。
 あたしと同じ濃紺のセーラー服。衣替えが来たら一転して真っ白な半袖。
 どちらかと言うとオーソドックスな仕様。
「わぁーっ」
 セーラー服姿で両手を広げ、満面の笑みを浮かべる脳内妹。
 女体化したあたしのアニキは「可愛らしい」仕草と笑顔で初めての制服にはしゃぐ。
 ん…なるほど。ちょっと可愛いかな。
 女のあたしが見たらわざとらしく感じなくはないけど、この子供みたいな表情見てたら「母性本能」が刺激されて愛しく思えてきた。
「どうですか?」
 もちろん言うべき答えは一つ。
「似あってる。可愛いわよ」
「そんなぁ。照れちゃいますぅ」
 両手で頬を押さえて揺らす。
 ああもう。全力で計算された仕草を天然でやるんじゃない。いや待て。

 制服を買ってもらったわたしは、さらに普段着なども買っていただけることになりました。
「これ可愛い。でも高いなぁ」
 ピンク色でフリルのついたネグリジェ。まるでお姫様が着るドレスみたい。
「あら。いいわね。可愛い。美咲じゃこういうの着てくれないし」
「着ないわよ。こんな乙女趣味。でも、アニキは好きなんじゃない」
「お兄ちゃんが?」
「えーもう。あなたが着てたら喜ぶわよ」
「そ、そうですか」
 結局買って貰えました。美咲お姉ちゃんは何かずっと笑ってました。
「おかしくてたまらない」と言う感じでした。

 その後も何着か。とても可愛いスカートやブラウス。下着などを。
「夢みたいです。でも」
「なにか不満?」
「お兄ちゃんに見て貰えないのが残念で」
 その言葉を聞いた美咲お姉ちゃんがにっこり…にやり? そんな風に笑います。
「ばっかねぇ。写真に撮ればいいじゃない」
「あっ。そうですよね」
「任せて。帰ったら撮影会しましょうか」
「はいっ」
 うわぁーっ。お兄ちゃんに見て貰えるんだ。

 帰ってきました。一息ついたら本当に撮影会に。
「はぁーい。季実子。笑って。もう。表情堅いよ。アニキに見て貰うんでしょ」
 お兄ちゃん…お兄ちゃんは可愛いと言ってくれるかなぁ。
「お。いい表情」
 シャッターの音がしました。

 お風呂から上がるともうネグリジェ姿です。
 うーん。でも初めてのブラジャー。これでおしまいと言うのは寂しいなぁ。
 えへ。このまま寝ちゃおうか。
 わたしは改めてつけなおしました。

 そのままお兄ちゃんのお部屋で、美咲お姉ちゃんとおしゃべりです。
 嬉しいなぁ。ずっとお兄ちゃんとしか脳内でしゃべれなかったから、こうして歳の近い女の子と話が出来るのがとても新鮮。
 だけど段々眠くなってきて。
 美咲お姉ちゃんはベッドに入るようにいいます。
 そうですね。おやすみなさい。
「お休み。朝までぐっすりとね」
 はぁい。お姉ちゃん。

 朝日が俺の頬をなでる。
 ん。朝か。今日は学校があるな。
「ふぁーあ」
 俺は伸びをする。両腕を包むピンク色の着衣。
 しかもフリルがやたらに。
「!?」
 一瞬で覚醒した。季実子の脳内で見ていた昨日のやり取りを思い出す。
 夕べの季実子。なに着て寝てた?
 俺はゆっくりと布団を剥がす。ああああ。なんて物を着てるんだ。俺は。
 ピンクのネグリジェじゃねーか。
 ということはパンツまで女物?
 季実子の姿ならいいが俺の姿じゃ最悪の絵面。
 とにかく見られる前に着替えてしまわないと。
アニキ。起きてる?」
 何かを狙っているかのような美咲の声。今「アニキ」といったところを見ると、入れ替わりを確信しているな。
「バ、バカ。開けるな」
「起きてるねーっ」
 まさに乱入してきた美咲。その手にはデジカメが。
「撮るなーっっっっ」
 抵抗むなしく「女装姿」を撮られた。
「いやぁーっ。いいもの撮れたわ。ま。これに懲りたら、今後はあたしが起こしにくるより早く着替えることね」
 なにか御満悦の実妹は意気揚々と引き上げて行く。
 うう。寝るたびに入れ替わるのでは前の夜はまず女物。
 今後は確かに美咲の乱入前に着替えないと、どんどんと女装写真が増える。
 とにかくネグリジェを脱いで…絶望した。
 季実子の奴。ブラジャーしたまま寝てやがった。
 平たい男の胸にこれはあまりに異様。

 登校するとあからさまにがっかりされる一大。
「なんだよ。季実子ちゃんじゃないのかよ」
 小須賀のその一言で理解した。
「さすがはわが妹。一発でみんなに受け入れられたか」
 自分が否定された形なことより、脳内妹が認知されたことが嬉しい。
「言ってろ。だが、確かに可愛かったな」
「だろ」
 まるで自分が誉められたかのように喜ぶ一大。
 まぁ実際に「自分」を誉められてはいる。
 過保護なアニキ丸出しである。

 この日は居眠りもせず、夜まで男で過ごした。
 その夕食後。
「アニキ。ちょっといい」
「ん? 何だ?」
 返事をするとコーヒーを口に含む一大。
 その眼前にとても可愛らしい季実子のファッションショーの写真が。
 一大が盛大にコーヒーを噴出したが、それを予知していてトレイでガードする美咲。故意犯だ。
「げほっ。げほっ」
「んふふー。むせるほど可愛かった?」
 確かに写真の少女はとても愛らしい。
 そしてまるで恋人に向けるかのような表情で写されていた。
 だがこれは自分なのだ。体も、そして心も人格も別だが自分なのだ。
 咽もする。美咲はそれをわかっててからかっている。
「寝る」
「あ。それなら季実子が朝困らないようにネグリジェでね。下着も換えてよね」
 もちろんこれもからかいである。

 翌朝。
 今度は季実子として目覚める。まだ五時である。
 男物のパジャマを脱ぎ、下着を買ってきた小さなランドリーバケットにいれ、女性用のに換える。
 そして壁に目を向けると、そこには真新しい女子セーラー服が吊るされていた。
「今日からこれで学校にいくんだなぁ」
 感慨深い。

 着替えると台所に。あらかじめ弁当を前提とした量の米がとがれている。
 その炊飯ジャーのタイマーが作動する。
 それに合わせたかのように季実子は調理を開始する。
「ママ。なんか早くな…季実子?」
 洗顔かトイレのために歩いていたらしいパジャマ姿の美咲が驚く。
「あ。おはよう。美咲お姉ちゃん」
「どうしたの? こんなに早く」
「はい。お弁当作りです。お兄ちゃんとわたしの分」
「アー。それもまたそう言う設定なのね。でもアニキの分は」
 そう。季実子の体は一大の物でもある。
「はい。なので…お姉ちゃん。食べてくれます?」
 ついに「美咲」が抜けた。一つ近づいた印象。上目使いのその表情。
 美咲は「キュン」となった。思わず抱き締める。
「きゃっ」
「ああもう。可愛いなぁ。妹ってこんなに可愛いものなの?」
 決定的に陥落した。
「よし。お姉ちゃんと一緒に作ろう。シャワーはそれから」
「本当ですか? 嬉しい」
 こうして「姉妹」で弁当作りとなる。

 学校に到着します。
 うう。緊張するなぁ。
 今度はちゃんとしないと。
 せっかく制服まで買ってもらえたんだし。

 わたしの扱いはお兄ちゃんと同じ扱いです。
 あくまで「小早川一大」と言う人間の扱いで。
 でもわたしが出ている時は体育は女子として。
 それから男女別の教科も女子としてになります。
 今日は早速、体育と家庭科があります。

 体育の授業。
 季実子は女子扱いで着替えも女子更衣室。
 正直、目のやり場に困る。
 季実子の中でのぞいて見ている形で、ちょっと後ろめたい。
 だから季実子がトイレや風呂に行く時は目をつぶっていた。

 やはり季実子も目のやり場に困るらしい。
 それと恥ずかしがり屋に設定したからな。
 恥じらいもなく下着姿を晒せる女どもとはつつしみが違う。

「ねぇ。季実子って呼んでいい」
「あ、はい。どうぞ」
 うんうん。女の子同士のやり取りだな。
 季実子に友達が出来るのは兄として喜ばしい。
 男だったら完全排除だがな。

「小早川の体が変身したんだよね?」
「えーと。そうみたいです」
「へぇー。でもほら」
 いきなり胸を触ってくるクラスメイト女子その1.季実子以外の女など覚える気にもならん。
「ふぇっ」
 あわてて胸を隠す季実子。正確にはブラジャー姿をな。
「ほら。ちゃんと感じるみたいよ。薄いけどふくらみはあるし」
 あーくそ。こちとら生まれて17年男だったんだ。
 こんなパイタッチの感触にすぐ慣れるはずがない。
「女子更衣室は男子禁制。あなたが女であるかどうか、かっくにーん」
 なんかそれを見透かされていたのか、川をわたろうとした牛に群がるピラニアのように女どもが触りに来る。
「ふぇええええ。や、やめてぇー。くすぐったい」
 くすぐられて季実子は悲鳴を上げる。
 や、やめろ。なんか変な感触がこみ上げてくるじゃないか。
 まさかこれって…

「ふぇ。ひどいですぅ」
 妹属性バリバリの季実子は上目遣いで睨みつけるが、鏡を見る限り可愛いだけだ。
 それは女子も同じだったようだ。
「かーわいい」
「や、やめて。何かが…ふぇぇぇっ」
 触りまくられて季実子は「達してしまった」。
 そして俺も、本来なら一生感じることのない感触を味わう羽目に。 

「うう、ひどいですぅ」
 体育では散々な目にあいました。
 まさか家庭科ではそんなことないですよね?

 家庭科は調理実習でした。
 みんなでエプロンして、お料理するのがとても楽しいです。
 いつかお兄ちゃんにもわたしの手料理を食べて欲しいな。

 そのままお昼ご飯になります。
 美味しい。あ。食べているのは別の人が作った物ですよ。
 ああ。こうしてこの世界に出てこられて本当に幸せです。
 生み出してくれたお兄ちゃんには、感謝しきれません。
 何とかして感謝の気持ちを…そうだ。手紙。

 わたしはお昼休みを利用して、教室でお兄ちゃんに感謝の手紙を書き始めました。
 けど、体育でさんざん疲れて、おなかが一杯になって、ましてや早くに起きてて眠く。
 あ。ダメ。ねちゃダメ。ダメだってばぁ……

「見るなぁーっ」
 ん? アニキの声? アニキ? 今日は季実子のはずよ。なんで。
 たまたまとおりかかったアニキのクラスで、今日は聞こえないはずの声が。
「アニキ? いるの…ぶふっ」
 確かにいたわ。
セーラー服姿のアニキが。
 その女装姿を見られまいと抵抗してますが、写メまでとられてるわ。
「なんてかっこうしているのよ…あ」
 あー。寝たのね。季実子。それで入れ替わりか。
 でもちょうどいい薬よ。
「どう? 理想の脳内妹もいいことばかりじゃないでしょ?」
「バかを言うな。こんなかわいい存在がいるか」
 いうなりアニキは何か手紙をつきつけてくる。
 やたらに丸っこい文字だ。
「これ。もしかして…」
「ああ。季実子からの俺に対する感謝の気持ちの手紙だ。なんていじらしい」
 自分で自分を抱き締める。ある意味、季実子を抱きしめているけど。

「うおーっっ。脳内妹のない人生なんて、もはや考えられないぜーッ」

 アニキは心のままに叫ぶ。みんなドン引き。
 あ。ダメだこりゃ。死なない限り治りそうもないわ。
 あたしは醒めきった目でダメ人間を見据えていた…けど、ウン。確かに季実子はかわいいわ。
 その点は同意するわ。
 あれ? あたしもダメ人間になりかけてる?

 兄にして妹。そんな奇妙な存在の物語。まずはここまで。

あとがき

 この話の発端は「脳内妹」と入れ替わるというそのまんまの展開でした。
 タイトルも「脳内妹」から「脳内シスター」に。
 しかしなんとなくぴんと来ず、いろいろ考えてよくある「No○○ No Life」と言うフレーズに当てはめました。

 主導権を完全に妹に握られている上に、自らの設定によりとにかく可愛く女の子らしい仕草や口調になるので、それをやってしまっている形の本人はとにかく恥ずかしいと。

 三人称に加えて、一人称が三方向からとちょっと変わった形式ですが、それぞれの心情を深く掘り下げようとした結果こうなりました。

 季実子は楽でした。
 とにかく妄想全開の可愛さでいいので。
 口癖の『ふぇ』はズバリ「萌え」の記号で。
 一大もバカにしとけばよかったのでやはり楽。
 ただ美咲は比較的にリアルな娘なので、これはやや難しいかなと。

 ネーミング。
 ブラコン妹とくれば僕の場合はこれ。
 恋愛SLG「トゥルーラブストーリー2」に出てくる「主人公」の妹・君子の字面を変えて。
 美咲も「トゥルー・ラブストーリー(R)」のやはり妹キャラ・みさきから。
 苗字の小早川は1のデフォルトが早川。2が小笠原でそれを合わせました。

 お読みいただき、ありがとうございました。

 城弾

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